音の使い方が効果的で、レトロで不思議な世界が見事に描き出されている、印象的な謎解きアドベンチャーだ。オープニングとエンディングも力作で、必見だ。プレイヤーは主人公の少年と同様、「いったい何が起きているのか」「どうすればよいのか」わからない状態で放り出されるが、わずかなヒントを手がかりに試行錯誤を重ね、少しずつ物語を進めていくうちに、作品世界に引き込まれていることに気づくだろう。
移動できる範囲が限られ、できることも制約されているため、思いつく限りのことをすべてやり尽くしたとしても苦にはならない。
デストラップなどはなく、ゲームオーバーの心配はない。手当たり次第にいろいろと試してみよう。物語は一本道で、エンディングも一種類とシンプルだ。モノノケどもは見かけ倒しの役立たずなので、あまりこだわりすぎないこと。
トータルプレイ時間は1時間から2時間の短編だが、最後までたどり着いたときの充実感があり、とても気持ちよく楽しむことができた。
(秋山 俊)