筆者が思うに、パソコンでの音楽再生には二つの場合がある。一つは、パソコンで音楽を楽しむことを第一目的の場合。そしてもう一つが、パソコンでほかの作業をする際に、BGM的に音楽を再生する場合だ。音楽再生のメインは「音」であるため、極端なことをいえば画面表示は必要ない。にもかかわらず、再生時にビジュアルエフェクトを表示するプレイヤーがあるのは、ユーザの意識をほかのウィンドウから切り離し、曲に没頭させるためだ。こうした機能は、前者に相当する。一方、BGM的に音楽を再生する場合、メインは音楽ではなく、同時に動作するほかのウィンドウでの作業だ。例えば筆者の場合、「原稿を書きながら、BGM的に音楽を再生する」ので、派手なエフェクトなどは必要なく、画面はできるだけほかのウィンドウの邪魔をしないデザインであってほしい。「Linear Audio Player」のティッカータイプの再生ウィンドウは、まさにそうした目的で開発されたといえる。
こうした用途の場合、再生の前段階となる楽曲の登録や管理といった作業もできるだけ省力化できることが望ましい。できることならラジオのように、何もしなくても勝手に新しい音楽が流れてくるのがベストだが、自分の好みの音楽だけを聴きたい、という場合にはさすがにラジオというわけにもいかない。だからといって、音楽ファイルの整理に時間をとられてしまっては本末転倒になってしまう。
この点でも「Linear Audio Player」は優秀だ。とりわけ「自動オーディオファイル登録」機能はすばらしい。CDをリッピングし、そのファイルを手動で再生ソフトに登録し……といった管理作業にかかる時間が大幅に短縮される。自分で整理しなくても、ソフトが勝手に整理・登録してくれる機能があるだけで、これだけ楽になる。とにかく「手間をかけず、メインの作業を邪魔されずに好みの音楽だけを聴いていたい」──そうした人にお勧めのオーディオプレイヤーだ。
(天野 司)