「Webページに動画や音声、あるいは対話的機能などのマルチメディア機能を持たせる仕組み」といえば、少し前まではFlashを使うのが当たり前だった。ただし、HTMLの最新バージョン「HTML5」が登場して以来、状況はやや変わりつつある。Flashでなくては作成できないようなインタラクティブマルチメディアコンテンツが、HTML5でも記述できるようになってきたからだ。さらに、iPhoneやiPadなどのiOS搭載機種、Android搭載のスマートフォンやタブレット、Windows 8でのWindows 8 UI上のInternet Explorer 10など、Flashの再生そのものを標準でサポートしない環境が増えている。これらの環境でもブラウザを変えたり、プレイヤーをインストールすれば、Flashを再生できる場合もあるが、やはり標準で対応していないのは大きい。
このためか、ひと頃は非常に多かったFlashコンテンツも、最近ではやや減少傾向にあるように思える。これまでFlashコンテンツを使ってWebページを公開していたサイトも、上記のような環境でアクセスされることを考えれば、Flashの使用をやめるか、あるいはFlash以外の(例えばHTML5など)方法でコンテンツを公開する例が増えてくるだろう。
「Motion Decompiler 5」を使えば、ソースファイルのないSWF形式のファイルをFLA形式に戻したり、別の形式に変更したり、あるいはリソースを抜き出したりできる。過去に作ったファイルなどでは案外、ソースファイルが失われていることも多い。ましてFlashのようなデータは、外部(例えばWebデザイン会社など)で作成される場合も多いだけになおさらだ。
しかも「Motion Decompiler 5」は、SWFから直接HTML5にする機能も搭載する。ActionScriptの変換には対応しないので、複雑な処理をするページは自動的に変換できないとはいえ、スクリプト自体を確認することは可能なので、処理を再現するのは十分に可能だ。
Flashコンテンツの作成に慣れた人にとっては、HTML5コンテンツを作成する際にも、「とりあえずFlashで作っておき、『Motion Decompiler 5』で変換する」という作成方法も考えれる。そうした用途を考えると、むしろFlashが使われなくなりつつあるいまこそ、活躍する場が増えつつあるともいえるのではないだろうか。
(天野 司)