単にPDFファイルを閲覧するだけでなく、より積極的に活用したい人にお勧めのソフト。既存のファイルに対して注釈や図を書き込んだり、新たにしおりを追加したりすることで、PDF文書をより使いやすいものにできる。なかでも便利なのは、資料の回覧や校閲を行うようなケース。「置換」「テキストを挿入」「取り消し線」といった機能を使うと、語句の置換や挿入、削除といった指定を、手作業での文書校正作業と同じ感覚で行うことができる。
これらのオブジェクトには、それぞれに書き込んだユーザの名前や日付がつけられ、「誰がどんな指示を出したのか」がわかる。さらに、個々のオブジェクトに対してチェックマークや承認、却下、キャンセル、完了といったステータスを与えることができ、回覧や認可の状態も明快になる。加えて、注釈を必要に応じて折り畳むことができたり、マーキングした位置との関係を示す線が現れたりするのは、紙の上での校正にはまねのできないメリットだ。
SNSとの連携機能にも注目したい。文書ファイルそのものや一部のテキスト、文書上で作成したスナップショット(キャプチャ画像)などをSNSに投稿することで、確認や回覧がよりスピーディになる。情報の公開という点では注意が必要だが、Facebookでは投稿先のウォールとして自分またはグループを選択できるし、Twitterの場合はダイレクトメッセージで送信するといった指定もできる。
もちろん、これらの機能をすべての既存PDF文書で使えるわけではないが、元になるPDFを作成するときに、権限の設定をきちんとしておけばすむことだ。姉妹ソフトとしてPDF作成ソフトもラインナップされているので、うまく組み合わせれば、作業効率が向上するだろう。
(福住 護)