前作の「Climie」は、クリップボード履歴を平文で保管するのはマズイだろう、というところから開発をはじめたために、アイデア先行で利便性に欠けている面がありました。また、開発言語の壁もあって、ファイルサイズやメモリ使用量の大きさがどうしようもありませんでした。「いまのものを磨き続けるのでは、これ以上はない」という結論に至ったことで、新しいものを作り直すことに決めました。Visual Studioを学生時代に入手していなかったため、無料のExpress版でも開発できる.NETに白羽の矢が立ちました。そのなかでC#を選択したのは、単にVBに心惹かれなかったからですね。
開発で最も苦労したのは、データを保持するツリーの保存と復元の部分です。まだパフォーマンスには課題があると思っていますが、開発当初はもっと激遅でした。シリアライズの手段を一新したことで、かなりの高速化を達成できました。
また、前作との後方互換を投げ出した分、前作より多くの面で優れていることが必要だと感じていたため、そこのところの実現も苦労しました。結果として、インクリメンタルサーチ以外の機能は前作と同等のものを搭載しつつ、本体のロック機能など、前作になかった優れた機能も持つに至りました。
普通にクリップボード拡張として使うもよし、ID Managerのようにパスワード管理に使うもよし、という自由なソフトです。ただ前作同様、セキュリティの厳しい環境や、不特定多数の人が使うパソコンなどでの利用を念頭に置いています。
あらためてソースを見直して、個人的に痛いと思う個所が何点かあるので、今後はそのあたりの修正をまず行ってゆこうと思います。それがひと通り済んだところで、新しい機能追加なども考えてゆきたいですね。まあ、それはVer.3として公開するかもしれませんが。
(Maya Takimoto)