人と触れ合うのが苦手で根暗な冒険者と、地下墳墓の棺の中で眠りについていた少女との交流を描いた短編ビジュアルノベル。いずれもどこか歪んだところのある五人のキャラクタの織り成すドラマが、サスペンスタッチで淡々と語られる。古代文明の遺跡である地下墳墓の棺の中で寝ていた少女の正体は……
「発掘少女」は、地下墳墓の棺の中でコールドスリープしていたところを発見された少女と、彼女を発見した冒険者を中心に物語が展開する、一本道の短編ビジュアルノベル。サスペンス風の文章で男女五人の捻れた物語が淡々と描かれてゆく。総プレイ時間2〜3時間の“読ませる”作品。
ゲームの舞台は、辺境に位置するのどかな街「メンフィン」。地下には、古代に栄えていた高度な魔法文明の広大な地下墳墓がある。とはいうものの、遺跡からは魔法的価値のある財宝があまり出土しないため、冒険者たちからの人気もなく、街にはわずかに商組合員が一人と冒険者が一人いるだけだった。
物語は、街の唯一の冒険者である主人公が、それまで未探索の階層に踏み入ったところからはじまる。主人公はそこで、古代の棺の中に眠る少女を発見する。しかも少女には、獣のような耳と尻尾が生えていた。状況から考えれば、少女はこれまでに一度も発見されたことのない古代人の生き残りと思われる……。もし、それが事実であれば、この静かな街と遺跡は間違いなく大騒ぎに巻き込まれてしまう。そうした事態を望まない主人公とその友人の商組合員は、少女が古代人の生き残りかどうかはっきりするまで、このことを二人だけの秘密にすることにした。そしてそれまでの間、少女の世話は、主人公が不承不承ながら引き受けることになる。はたして少女の正体は……?
人付き合いが下手で、どこか歪なところのある五人のキャラの物語が淡々と描かれる
主人公の名前は「ゴドー」。性格は地味で根暗。他者と触れ合うことをあまり好まず、一人で黙々と仕事することを好む。遺跡探索専門の冒険者で、正式な遺跡探索許可証を保持している。アパートから地下墳墓に通い、淡々と探索を行う生活を送っていた。
ゴドーの友人「マクレーン」は、国から委託された正規の組織である商組合のメンフィン支部唯一の組合員。遺跡の出土品などを買い取り、調査や鑑定ののち、しかるべき筋に売却することが仕事だ。紅茶を淹れる腕はプロ級。静かで美しいメンフィンの街を気に入り、出世などには興味のない変わり者だ。
「ヒュナ」は、地下墳墓の中で発見された少女。自分の名前以外の記憶がない。外見は12〜13歳程度だが、知能は6歳並みとマクレーンに診断される。現代の言葉をたどたどしくしゃべることができ、獣の耳と尻尾を持つ。一種の刷り込みなのか、ゴドーに非常に懐いている。
「パシフィカ」は、ゴドーが住むアパートの大家。ゴドーの学生時代の後輩で、ゴドーのことを先輩と呼ぶ。淡々とした口調で話すが、面倒見がよく、ゴドーと一緒に暮らすようになったヒュナの遊び相手をしたり、食事の世話をしたりする。
「ウェザーリン」は、蛇のような雰囲気を持つ謎の女性。ゴドーは、地下墳墓の入り口の前で彼女に出会う……。
本編終了後の後日談やオマケも用意され、最後まで楽しめる
ゲームの内容は、完全一本道のビジュアルノベル。選択肢の入力や分岐などはない。使用されているシステムは「吉里吉里2/KAG3」。画面モードは、ウィンドウ/フルスクリーンの2種類。ウィンドウモードではメニューバー、フルスクリーンモードではマウスカーソルを画面上部に移動させたときに表示されるメニューで各種操作を行う。
栞を挟めるのは10ヵ所まで。メニューバーの「栞をはさむ」を使って行う。栞をたどる場合も同様だ。そのほか、メッセージを消してイラストだけを楽しんだり、メッセージ履歴を表示させたり、自動的に読み進めたりすることも可能。ゲーム開始時に章のリストが表示され、好きな章を選んで物語を開始できる。
本編終了後には、メインメニューにエクストラの項目が増え、後日談を楽しめるようになっている。さらに、作中で使用された背景やカットイラストを解説文付きで見ることのできるギャラリーといったオマケも用意されている。