自キャラの移動後には「攻撃」と「待機」しかない、シンプルな戦略シミュレーションゲーム。マウスオンリーの操作性は意外によいものの、ストーリーもシンプルで、グラフィックやサウンドなどもチープ。しかし、それにもかかわらず、なぜかこれがおもしろく、やめられなくなってしまう。本作品のおもしろさは、なんといっても登場人物による会話にある。方言を交えて展開される、特に味方側キャラのバカなセリフの応酬が、読んでいて非常に楽しい。設定こそ「世界征服を企む悪の組織」だの「宇宙征服を目論む生徒会長」だのと、いかにも狙った感じだが、会話は奇をてらった感じがなく、高校の気の置けない仲間同士のバカ話としてはむしろ自然。全体に“気の抜けたほのぼのした感じ”が漂い、そこが魅力となっている。当然、敵となるアクトー団も非常に緩い。多用される、ガッカリ感漂う黒塗りの表情も楽しい。
面倒な設定や解説のための回り道などはなく、物語がサクサクとテンポよく進むのもよい。ゲーム全体のボリュームも手ごろで、気軽にプレイできるところもうれしい。
戦闘モードも難易度が控えめなので、それほど苦労せずにクリアできるはず。ただし、戦闘が短めなため、キャラクタを均等に育成するのが難しく、使いやすいキャラと、たちまちやられてしまうキャラといった具合に、あっという間に格差が開いてしまう。この点だけは注意が必要だろう。
(秋山 俊)