プレイしてみて、まず感じたことはゲームのテンポのよさ。特に戦闘のテンポがすこぶるよい。レベルが上がりやすく、お金もたまりやすいので、序盤で武器や防具を揃えることができる。エンカウント率は若干高いものの、サクサクとゲームを進めることができるので、ストレスはたまらない。ボリュームの多さのわりに、途中でダレることなくプレイできた。ひとつ気になったところといえば、移動中のダッシュがほしかったことくらいだろうか。複数のキャラクタが登場するが、主人公と彼らの会話がとにかくおもしろい。ところどころに笑う要素が盛り込まれ、楽しく読むことができた。物語自体はシリアスなのだが、あまり重く感じなかったのは、キャラクタのコミカルな会話のおかげだろう。この点でもバランスが取れていると思う。
キャラクタ同士の会話だけでなく、小ネタも満載。敵の「笑いの精霊」が出てきて、いきなりダジャレ攻撃を受けたときは思わず吹き出してしまった。しかし、毒やしびれなどおなじみの状態異常に混じり、「笑い」が登場したときはどうしようかと困ったものだ。道具やでは、「笑い」状態を打ち消す道具が売られているので、ダンジョンに入るときは懐に忍ばせておこう。
長編ながら、キャラクタ同士の軽妙な会話と、テンポのよい戦闘のおかげで、時間を感じないくらいおもしろくプレイできた。ダンジョン探索やクエストなど、“王道”RPGとしてのやり込み要素が盛りだくさんなので、RPGが好きな方はぜひプレイしてほしい。そしてセンス溢れる、笑いに満ちた作品世界を堪能していただきたい。
(早川 陽子)