クエストクリア型RPGの「冒険者の宿」では、多種多様なイベントをこなしてゆくことになる。舞台となる大陸にはさまざまなダンジョンが存在し、それぞれ独自の特徴を持っている。ダンジョンの入り口には必ず仮面の男「バロン」がいて、ダンジョンや出現するモンスターの特徴を教えてくれる。一度クリアしたダンジョンでは、テレポートさせてくれるキャラも出現。ダンジョン内には、回復アイテムなどを購入できる道具屋も設置されている。このように、プレイヤーに対して親切な設計になっており、よほど無茶をしない限りは「ダンジョンの奥深くから、回復のために町へ戻る」といった手間は起こらない。ゲームをプレイする上でストレスを感じることはなく、作者の気配りを感じる。
親切といえば、冒険者ギルド本部の書棚に「アバンフィロス」という雑誌がある。冒険者向けの雑誌で、ゲームをする上でのお役立ち情報が満載。雑誌記事担当「カインド」が、戦闘の仕方や属性の概念、状態異常の説明などを丁寧にしてくれるので、冒険をはじめる前に読んでおくとよい。
クエスト中心のゲームだが、ゲーム中のエピソードには笑えるものが多く、気軽にプレイできる点も評価したい。キャラクタも個性的な人物が多く、特にオカマの「プリムローズ」は外見・性格ともに、いろいろな意味で印象的だ。他作品とのコラボ要素も充実しており、同じ作者による「とらねこ屋!」をはじめ、さまざまなゲームのキャラクタが登場する点も見逃せない。
多彩なクエスト、さまざまなやり込み、個性的なキャラクタ、充実したコラボレーションなど、お楽しみ要素が満載。物語もシステムも「これぞ王道ファンタジーRPG」という内容なので、普段からRPGを好んでプレイする方には、ぜひ一度遊んでみていただきたい。
(早川 陽子)