「これだけの機材を実際にハードウェアとして揃えたら」と考えると、恐ろしいほどのコストパフォーマンスだ(フリーソフトだから、この表現自体、的外れかも)。メディアファイルを先読みしてから再生するためか、スクラッチ音は実にリアルだし、音の途切れなども感じられない。これはキュー(曲の途中を登録しておいて頭出しする機能)やループ(曲の途中を繰り返し再生する機能)などにおいても同様だ。
DJそのものにあまり詳しくない筆者には「どの程度リアルか?」といった評価はできないが、少なくとも二つの曲をミックスして流したり、スクラッチのまねごとを試してみたりといった程度ならすぐにできたので、DJプレイについてある程度知っている人なら、使いこなしは容易ではないかと思う。
これだけの機能が詰まっているのは、本格的なDJを目指す人にとっても魅力的だろうが、しばらく試用しているうちに、ホームパーティやちょっとした宴会などの演出用としても使えるのではないかと思えてきた。その場合は、BGMを流しながら時々サンプラーで効果音を加えるといった使い方が主で、ループやスクラッチといった機能は不要だろうが、一方でキューなどは役立つかもしれない。
そう考えていくと、DJという枠を超えて、いろいろと応用範囲が広がりそうだ。アマチュアムービーでの音響制作などに利用してみるのもよいのではないだろうか。
(福住 護)