総プレイ時間が1時間半から2時間程度の短編RPGながら、ゲームシステムが特徴的で、かなりのめり込んでプレイできた。カギとなるのが、キャラクタの育成要素。レベルが上がるごとに魔法を覚えたり、詠唱力を上げたりできるが、育成の仕方によって戦い方がガラリと変わってくる。筆者は、三人のキャラクタにそれぞれ単体、全体、強力の各攻撃魔法を覚えさせた上で、「ルティア」は状態異常回復、「セラ」はHP回復、「ミレーナ」は戦闘不能解除と回復魔法を割り振り、ある程度魔法を覚えたら、残りすべてを詠唱力に振るという戦法をとった。序盤は魔法を覚えておらず、詠唱力も低いため、苦戦する。すぐに学校へ戻れる範囲でレベルを上げつつ、武器防具を揃えてゆくのがお勧めだ。中盤以降は、いろいろな魔法を覚えて詠唱力も上がってくるため、テンポよくゲームを進められるようになる。後半、魔法をバンバン使えるようになると、戦闘がかなりおもしろくなる。序盤はキャラクタをじっくり自分好みに育て、後半に備えよう。
舞台が学校ということで、武器・防具・消費アイテムの購入は購買部、HPの回復は保健室で行う。レベル上げをしていると自然にお金がたまるので、武器と防具はダンジョンをクリアするごとに、なるべく最強装備を揃えておきたい。また、ダンジョンのどこにいても一瞬で転送の間に戻してくれるアイテム「転送石」をひとつ持っておくと便利だろう。
個性的なゲームシステムに目が行きがちだが、ストーリーも非常によく作られている。特にルティア、セラ、ミレーナの友情が描かれるシーンは、思わずホロリとしてしまうほどいい話だ。短い中にも、心温まるシナリオや歯応えのあるシステムなど、おもしろい要素がギュッと詰まっている。やり込みを好む人はもちろん、 サクっとゲームを楽しみたい人にもお勧めしたい良作RPGだ。
(早川 陽子)