最近の動画処理のトレンドは、なんといってもGPUによるハードウェア演算支援だ。古くはグラフィックチップによる拡大・縮小表示にはじまり、ビデオオーバーレイ表示や色空間変換などの「動画再生支援」、GPUが持つ3D機能を動画エフェクトに利用する3Dエフェクト、さらにエフェクトやエンコードに利用したGPGPUなど、その利用範囲は時とともに拡大してきた。一方、最近ではCPUも高性能化が進み、どんな場合であってもGPUのハードウェア支援機能の方が有利とはいえない状況も出てきた。64bit化され、マルチメディア命令が強化され、マルチコアにより処理速度が高速化され……といったさまざまな高性能化機能が搭載されたCPUでは、あえてGPUの支援機能を使わなくても十分に高速なエンコードを行える場合もある。
動画編集には、ソースの読み込みにはじまり、デコード、エフェクト加工、エンコード、最終出力と、さまざまなステップがある。それぞれのステップごとにCPUが得意な処理やGPUが得意な処理がある。こうした状況では「GPUだけ」「CPUだけ」といった処理方針は、必ずしも最適とはいえない。処理の種類やステップごとに最適なハードウェア機能を選択することが必要だ。
「PowerDirector 10 Ultra」の動画処理エンジン「TrueVelocity 2」は、まさにそうした「適材適所」を達成している。動画処理ソフトは「どのステップでどのようなハードウェア機能が最も有効に働くか」を知っている。現在のパソコンで、どのハードウェアを利用するのかを的確に選ぶことができるからこそ、全体の処理速度が向上する。
結果として「PowerDirector 10 Ultra」の高速化ぶりは本当にすばらしいものになった。使用しているパソコンのハードウェア能力を極限まで利用したい人には、まさにお勧めのソフトだ。
(天野 司)