霧に包まれた世界を舞台に壮大なスケールで繰り広げられる、連作長編RPGの第一章。総勢20名以上のキャラクタによるコメディタッチの会話が楽しい。ある日突然現れた神に「君は世界を救う最後の切り札」といわれても……
「Grimoire Hearts」は、全四章で構成される連載型長編RPG。各章は「Disk」単位で区切られ、第一章にあたる「Disk1(a bargain is a bargain)」では、物語の導入部分が綴られる。
ゲームの舞台は、霧に覆われた大陸「ユ・オルセル」。主人公は、インフェリア王国騎士団長「デュクス」の一人息子「ユウリ」。物語は、ユウリの不思議な夢からはじまる。夢の中でユウリは、“重力無視でファンキーな足場”の通路をひたすら歩いていた。歩いていると、「ずっとあなたと会える日を待っていた……」という不思議な声がユウリの脳裏に響く。
不思議な声は、ユ・オルセルの歴史について語りはじめる。かつてユ・オルセルには神がおり、人間に知恵を授けた。知恵を得た人間は、あっという間に繁栄を極めるが、あるとき世界にひとつの闇が降り立つ。それは一人の大量虐殺者だった。彼の絶対的な力は大地を裂き、空を割るほどだったという。人々はなす術なく殺され続け、世界には次第に“霧”が蔓延していった。霧が包む世界で虐殺を続けた彼を、人々は「霧の王」と呼んだ。しかも世界を覆った霧からは、凶暴な魔物が産み出され続けた。
人間たちが世界の終わりを覚悟したとき、神子「ランディ・トワイライト」が現れる。滅亡へと向かう人類を放っておくことができなかった神は、ランディに神の力の一部を授ける。それは魔物を倒す攻撃魔法と、人々を癒す回復魔法だった。神の力を手に入れたランディは世界を救うため、霧の王へ戦いを挑み、神の助けを得て、見事打ち倒す。しかし世界から霧は消えず、霧からは魔物が産み出され続けた。世界はまだ救われていなかったのだ。人間は霧の発生を抑える聖石「結界石」を作り出し、なんとか生活していた。そして霧の王が消え、神が眠りについて三百年の月日が経過。再び、霧の王が産まれようとしている。
不思議な声の正体は、長く眠りについていた悠久の女神「アズール」だった。アズールは、ユウリに「霧の王の復活は人為によるところが大きい」と話す。誰かが霧の王を蘇らせようとしており、復活を止めるために必要な最後の切り札がユウリだという。「“闇”に負けないでね、ユウリ……」、アズールからそう告げられたユウリは、そこで目を覚ます。
現在の世界――インフェリア王国は、霧の王が倒されてから百年周期で開かれている大祭「百年祭」の真っ最中だった。そのステージでは、インフェリア王国が「結界石」以上の霧への対抗策を提示できると発表する。ユウリは抗うことのできない運命に巻き込まれてようとしていた……。
称号システムやチャットイベントなど、特徴的なシステムが盛りだくさん
操作はキーボードで行う。カーソルキーで移動、【Shift】キーでダッシュ。【Esc】/【0】/【X】キーなどでメニュー画面を開くことができる。メニュー画面では、アイテムの使用や装備の変更、セーブなどを行える。【F1】ではプロパティを開くことができ、【F5】でゲーム内の音量調節を行える。
戦闘システムは、フロントビューのターン制バトル。攻撃方法には、武器を使用する物理攻撃と、MPを消費して行う技攻撃とがある。技には「スキル」「剣術」「魔術」といった種別があり、敵を攻撃するものもあれば、味方を回復させるものもある。イベントなどの一部を除き、(基本的に)ランダムエンカウントだが、エンカウント直前に「!」マークが出たところで決定キーを押すことで、“エンカウントキャンセル”することも可能。戦闘を回避できるが、キャンセルし続けると、思いも寄らない不意打ちをくらうこともある。
特徴的なシステムに「称号システム」がある。ユウリは「寝起きの悪い主人公」、ユウリとともに旅をする「カノン」は「声の通る女の子」というように、キャラクタは最初から何らかの称号が与えられている。称号にはステータスアップの利点がある。例えばユウリの「苦労人」は魔力が+2となり、カノンの「ちゃっかり娘」は敏捷が+2となる。称号は、武器や防具とともにメニュー内の装備欄から変更できるようになっている。
「チャットイベント」も特徴的なシステムだ。本編とは別にキャラクタの会話を楽しめるイベントで、ゲーム中の随所で発生する。チャットには「ノーマル」「グルービー」の2種類がある。ノーマルは次の目的に関係する内容で、グルービーは本筋と関係ない雑談となっている。ノーマルチャットは目的を達成するまで何度見ても消えることなく手元に残るが、グルービーチャットは一度見たり、マップを移動したりすると消えてしまう。チャットを見ることで称号を得られたりするので、チャットが発生したら必ずチェックしておこう。