精霊によって勇者に選ばれた者と選ばれなかった者、二人の若者の行動を描いた短編ファンタジーRPG。村に代々言い伝えられた「世界を救う勇者」を決める「精霊様の儀式」がついに開催される
「きみは勇者じゃない!」は、とある村で行われる「精霊様の儀式」に挑む男女二人の若者が描かれた短編RPG。村の中と村の西にある洞窟を舞台に、ちょっとハードだが、爽やかさの残るストーリーが展開される。総プレイ時間は1時間半ほど。
物語の舞台は、大昔に災厄で滅亡寸前のところを、精霊様の使いによって救われたとある村。村人たちは感謝の気持ちを忘れないよう、精霊様の洞窟の前に石碑を建て、精霊様の言葉と儀式を伝え通してきた。そして三百年が過ぎ、世界が再び破滅へと向かうと預言されたときを迎える。
物語は、村に伝承されてきた精霊様の儀式がいよいよ行われる日の朝からはじまる。この儀式で、候補に名乗り出た村の若者の中から、ただ一人が世界を救う勇者として精霊様から認められる。
主人公は、この重要な日にものんびりと寝坊をしていたマイペースな娘「サリア」と、サリアの隣に住む幼馴染みの青年「ニルス」。ニルスは、幼いころから自分が勇者となることを夢見ており、今回の儀式に並々ならぬ意欲を燃やしていた。だが、一人で儀式に挑むのは気後れし、サリアに対する淡い心も働いて、サリアと一緒に行動しようと、家まで迎えに行く。勢い込んで教会へと向かうニルスとサリアだが、神父から「村の西にある精霊様の洞窟に向かい、試練を受けるよう」伝えられる……。
レベルも高く、魔法のバランスのよいニルスが序盤の戦闘の要
ゲームは、村と精霊様の洞窟のみを舞台とした、コンパクトかつオーソドックスなファンタジーRPG。洞窟の中では、ランダムエンカウントでさまざまなモンスターが登場し、戦闘となる。戦闘は、フロントビューバトル形式で行われ、「戦う」または「逃げる」を選択できる。「戦う」では、「攻撃」「魔法」「防御」「道具」のいずれかを選択できる。
ゲーム開始時点でサリアの使える魔法は、洞窟から脱出して村の教会まで一瞬で帰れる「テレポート」だけ。しかし、敵と戦って経験値をため、レベルを上げることで、少しずつ使える魔法の数が増えてゆく。ゲーム開始時点のレベルが1のサリアに対し、勇者となるための修行を積んできたニルスのレベルは5。テレポートのほかに、攻撃魔法と回復魔法をそれぞれひとつずつ使うことができる。ゲーム序盤ではニルスが戦闘の軸となる。
後半では二人の洞窟の守護者が登場し、サリアの強力な仲間に
序盤では、武器や防具といった装備、アイテムなどはダンジョンの中にある宝箱や、倒したモンスターが時折落とすもので強化するのが基本。宝箱には、HP/MPを回復させるアイテムが主に入っている茶色い宝箱と、強力な防具や武器が入っている赤い宝箱の2種類がある。
「きみは勇者じゃない!」独特な重要アイテムとして、村の中やダンジョンの中で時折発見できる青く光る玉「精霊の恵み」がある(後半ではさらに、貴重な赤い精霊の恵みも登場する)。ゲーム中盤以降は店で高く売ることができ、戦闘中に使用すると、消滅する代わりに大きなダメージを敵全体に与えることができる。
後半では、精霊様の洞窟を守る役割を担った二人の守護者もサリアの仲間になる。最初に仲間になるのは「ゴドー」。炎の化身で、火炎系の魔法と、人間では扱えないほど重い武器を使った攻撃が得意。ただし寒さに弱く、吹雪の中では能力が低下して、HPも少しずつ減ってゆく。次に仲間になるのは「ロゼッタ」。氷の化身で、氷系の攻撃魔法と回復魔法が得意。HPの上限は低めで、戦闘によるダメージには弱い。