神様のきえた町での物語
君が産まれたときから、もう神様はいなかった。
祈っても、祈りなんか、どこにも届かなかった。
君は動けない。
君は喋れない。
幾万の命が途切れ、迷い、歩いていくのを
ただ、見てきた。
百万の歳月が流れて、君は巨木となった。
少しだけ、願うことを覚えた。
願いは、神様には通じない。だけど、命には届いた。
命には、少しだけ、届くのだった。
だから君は、心の底から願った。
毎日、願い続けた。
ちゃいにぃすとん
神様消えた
ちゃいにぃすとん
祈りはもうない
ちゃいにぃすとん
だからもう、祈らないで
この物語は、君が出会った、ちっぽけな命。
たった2つの命のお話。
神の消えた、町でのお話。