コマンド選択式アドベンチャーゲーム
三田村康彦は、思わずガッツポーズをとった。ダメもとで申し込んだ、私立高等学校の非常勤講師の採用通知が届いたのだ。4年生半ばを過ぎてから就職活動を始めた、暢気な三田村にとって、教職課程を取っておいて本当に助かったと思える朗報だった。
「母さん、オレ教師になったよ!」と、桜木健一のように叫んでみるかと一人で苦笑したりした。人に「教える」ことは、あまり得意ではなかったが、出来る範囲で精一杯頑張るつもりではあった。
赴任当日、締め慣れないネクタイに違和感を感じつつ、三田村は、清稜女学園の門をくぐった。整然と置かれる自転車や、いくつも並ぶ下駄箱は、まだ若い三田村にとっても高校時代を思い出させる懐かしさにあふれていた。
職員通用口に向かいつつ、三田村は時計をのぞいた。
「…8時30分か、初日から遅刻すれすれとはマズイな。」
やや早足で歩きながら、この学校には生徒の騒ぐ声が聴こえないのが気になった。
「いやに静かだな。女子校って、もっとザワついているもんかと思ってたぜ。」
遅刻寸前に駆け込んでくる生徒の姿もない。
「ヤベッ。俺が一番最後じゃ洒落になんないぞ。」
三田村は鞄を脇に抱えて駆け出した。
【はじめに】
ダウンロードor再配布による入手、ありがとうございます。この作品は、比較的難易度の緩い、コマンド選択式アドベンチャーゲームです。市販大型アプリケーションを、劇場映画とすると、本作品は、1時間モノ単発テレビ特番程の内容と言った感じで、真剣にプレイすれば、数時間で解いてしまえる規模かと思いますが、ダウンロード時の転送時間を肥大させないよう、全体のサイズに気を配りながら、まあまあ楽しめる作品に仕上げたつもりです。(泣く泣くカットした、いい画像がありました(T^T)オシイ)
暇なときにちょこちょこと解きつつ、プレイしていただければ幸いです。