「なんちゃってHDR」は、写真の明るすぎる、暗すぎる部分を補正する“HDR合成風”の加工ソフト。HDR(High Dynamic Range)合成とは、露出を変えた複数枚の写真を撮影し、被写体それぞれで適当な露出の部分を切り貼りして1枚の写真を作り出す技法。この合成を行うと、黒つぶれや白飛びが少ない画像を得られる。
最近のデジカメでは、カメラ内部でHDR合成を自動的に行う機種も登場している。ただ本格的にHDR合成をする場合、パソコン上で処理することになるが、専用ソフトは高価なことが多い。例えば、夜景かつ建物から出ている光が多い状況では、暗い部分と明るい部分の差が激しい(いわゆるダイナミックレンジが広い)。この状況で撮影された写真のうち、暗い部分と明るい部分の明度を調整して「明度の均一感」を出すことができる。
「なんちゃってHDR」を使えば、そうしたHDR合成を擬似的に行ってくれる。しかも、正式なHDR合成のように、露出を変えて複数枚の写真を撮影する必要はない。あくまで“なんちゃって”ではあるため、正式なHDR合成よりも効果は薄く、完全に白飛び・黒つぶれした部分は補正できないが、写真を見やすくことはできる。
設定できるパラメータは四つ。「HDR化の程度」「演算サイズ」「明暗処理の境界」「細部の強調」だ。処理後の画像をプレビューできるため、各種設定を試しながら、最適なパラメータを決めることができる。「HDR化の程度」を強くすると、明るい部分と暗い部分がより中間的な明るさに変わる。中間の明るさのコントラストが落ちるため、強くしすぎると、ボヤッとした印象の画像になる。