「多少手間はかかっても、裏面の絵と文字は自分の手で作成したい」という人にお勧めなのが「FudeBoardF20」だ。このソフトはその名の通り、マウスを使ってあたかも筆で描いたかのようなタッチの作品を仕上げることができる機能を持つ。5種類の筆を駆使して、水彩画や油絵、墨絵など絵画風の絵も描けるし、毛筆風の文字を書くこともできる。絵心のある人や書道が得意な人にはうってつけのソフトといってよい。
その上、「ボカシ」「歪み」「ソフト」などの画像エフェクト、「ネガポジ」「セピア」「モザイク」などのフィルタ、「絵画」「筆画」「切絵」などの写真加工エフェクトが用意されており、デジカメで撮った写真などを加工するのにも利用できる。機能が豊富な分、すべてを使いこなすのはちょっと難しいかも知れないが、それだけの価値はあるソフトだ。
とりあえず、その機能の一部を使って年賀状の裏面を作成してみよう。まず、新規作成したキャンバスに毛筆風の文字を書いてみる。力強さを出すために筆は「太筆」を使ってみた。マウスを左ドラッグして書いてゆく。マウスを動かすスピードによって線の太さが変化し、抜きや撥ね、払いなども表現できるのがうれしい。線のかすれ具合も毛筆らしさがでていておもしろい。
書きやすさを優先してキャンバス一杯に字を書いたので、こんどはこれを適当な大きさに縮小する。このソフトでは画像の回転、移動、拡大・縮小がワンセットになっていて、ボタンひとつで専用のモードに移行する。この状態でマウスの左ドラッグで移動、右ドラッグで回転、左右のボタンを押してドラッグすると拡大・縮小ができる。
ちょうどいいサイズと形になったところで、【A】キーを押して描画モードに復帰。背景のうち、拡大・縮小の影響で黒くなった部分を「閉鎖領域色塗りつぶし」で白くした。筆者は、眼で見ながらサイズを調整したかったのでこちらを使用したが、単純に縮小するだけでよければ「縮小保存設定」を使用して、数値入力により縮小することもできる。
他の画像と合成するために、ここでいったん、作成した画像を背景画像として「キープ」する。そして白地に戻ったキャンバスに、「重画」ですでにある画像を読み込み、同じく「回転|移動|拡縮」を使って位置とサイズを調整する(画像を読み込む代わりに筆を使い、オリジナルのイラストを作成してももちろんかまわない)。
最後に「結合」をクリックして、加工した画像とキープしておいた背景の文字を重ね合わせる。これにより背景の文字は前景の画像の白地の部分を透過して表示される。
ここに挙げた以外にも「FodeBoardF20」には多彩な機能があり、例えば画像の合成ひとつをとっても、例示したものとは異なるいくつもの方法が可能である。また、今回は読み込んだ画像の加工はほとんど行わなかったが、このソフトには各種のフィルタやエフェクト、「+色」や「−色」、「RGB補正」などが用意されているので、それらを効果的に使って、もっとおもしろい画像を作成することも可能だろう。