ソフトを開発しようと思った動機、背景
「SSD_TURBO_BOOST」は、前作「プチフリバスター」の総決算として開発しました。SSDの利用環境は満身創痍でした。SSDが出はじめのころ、プチフリ問題が爆発炎上していました。これを解決するために「プチフリバスター Ver.1」を作りました。この頃は「プチフリさえ解決できればよい」というものでした。
ですが、調べれば調べるほど、SSDを取り巻く環境に問題があることがわかってきました。まず、マスコミあるいは大手メーカーが「SSDはデフラグ不要である」という間違った情報を流していたこと。Trimが実装されてだいぶよくなってはいるのですが、SSDはその構造上、ハードディスク以上に内部の断片化に弱いことがわかりました。これを解決するため、「MyDefragブースター」を開発しました。これはバージョンアップして、現在は「SSDブースター」として販売しています。「SSD_TURBO_BOOST」にはPremium版を添付しています。
次に、Windows 8/10が出てきました。8以降のWindowsはそれ自体、構造が弱くなっています。ちょっとしたことで壊れやすいという問題があります。これでは安心してキャッシュによる高速化はできません。安心して使用するために「Windows8/10レスキューキット」を開発して添付しました。
次に、Windows全般の問題として、ハードディスク専用OSとして改良が続けられた問題があります。SSDと相反する設定、好ましくない問題があります。これを抜本的に見直すために「SSD最適化設定」を開発しました。
問題点を見つけると、一つずつソフトウェアを支援ソフトとして作ってきたのですが、さすがに数が増え、初心者でも簡単に操作できる統合ソフトにする必要が出てきました。これだけ広範囲に機能を提供すると、ユーザが迷わず操作するための仕掛けが必要になるわけです。顧客からも統合メニューの声が大きくなり、「SSD_TURBO_BOOST」を作ることにしました。
開発中に苦労した点
実は「SSD_TURBO_BOOST」のようなソフトは弊社が一番苦手とするものでした。ソフト開発者は大きく分けて二群に分かれます。内部の機構に関心が深い開発者と、操作性や画面、GUIに関心が深い開発者です。弊社はドライバ、暗号化装置という内部機構に特化しているため、GUIのデザインが一番苦手なわけです。今回は、普段は考えないデザイン優先のGUIに力を入れました。不慣れなことはやはり大変です。
さらに、複数の独立したアプリをいかに上手に連結するかにも苦労しました。各アプリは過去との互換性もあり、従来の使い方を維持しつつ、どう「SSD_TURBO_BOOST」の統合メニューと連結するかという苦労がありました。
ユーザにお勧めする使い方
大きく分けて二つの使い方があります。
【A】これからハードディスクをSSDに換装しようという方に向いた使い方
「SSD_TURBO_BOOST」は、内部にマイグレーション機能を備えます。お持ちのパソコンに「SSD_TURBO_BOOST」を入れ、システムディスクの複製機能を使って、換装したいSSDにOSの複製できます。複製が終わったら、システムディスクを複製したSSDと交換してください。これで簡単にSSDの換装ができます。ドライバーを使ってパソコンの蓋を開けるというハードルはありますが、それさえできれば、最小の手間でパソコンをSSD化できます。換装が終わったら、あとは「SSD_TURBO_BOOST」の高速化機能をONにして、スピードアップを楽しんでください。ベンチマークが驚くほど速くなるのがわかります。
【B】すでにSSDを利用している方の使い方
「SSD_TURBO_BOOST」の高速化機能をONにしてスピードアップを楽しんでください。
もし、Windows 10をご利用の方であれば、付属の「Windows10レスキューキット」を利用して、OSそのもののチューンアップをしてください。
そして定期的なメンテナンス機能である「SSDブースター Premium」でSSDをチェックしてください。最新のSSDでは解決していると信じたいのですが、少し古いSSD、あるいは廉価なSSDではNANDフラッシュのドリフト問題があります。これはNANDフラッシュの電荷が時間の経過とともに抜けてしまい、データの読み取りが難しくなるという問題です。ドリフト問題は古いファイルが時間が経つごとに読み取りが遅くなる、あるいは知らない間にファイルが壊れるという問題を引き起こします。
「SSDブースター Premium」は、システムディスク上の全ファイルのチェックサムを作り、異常がないか検査する機能を備えています。これにより、読み取りが遅いファイルをグラフ化してレポートし、メンテナンスのタイミングを教えてくれます。また、この検査は新しいSSDではECCリフレッシュという機能を備えていれば、SSDが内部で自動的に書き換えメンテナンスを行います。これにより、SSDの信頼性が飛躍的に向上します。
今後のバージョンアップ予定
「SSD_TURBO_BOOST」は、2TBまでのディスクに対応します。次版からはオーバー2TBのディスクに対応の予定です。
今後目指す方向性
「SSD_TURBO_BOOST」のような高速化ソフトは、市販のSSDにメーカーが標準添付する方向があります。ですが、SSDメーカーはやはりソフト開発は苦手に見えます。添付を開始したときは画期的でも、長期的にメンテナンスが滞っているように見えます。こういうことがないように、ソフト会社が作ったソフトとして改良を進めてゆきたいと思います。
((有)電机本舗)