「VOICEROID+ 東北きりたん EX」のエンジンは、自然な合成ができるという性能の高さはもちろん、人間の音声がベースになっているため、「キャラクタ音声のバリエーション展開を行いやすい」という大きな特徴がある。もとの声を違う人にすれば、それだけでまったく異なる印象の音声合成ができる。そのおかげといえるだろうか、「VOICEROID」「VOICEROID+」「VOICEROID+ EX」シリーズのソフトには、「VOICEROID+ 東北きりたん EX」を含め、すでに多数のバリエーションがある。同じく、実際の人間の声をもとに歌声を合成する「VOCALOID」同様、ボイスデータ違いだけで数十種類という大人気のシリーズになっている。
「もとの音声を変えれば、それだけでバリエーション展開ができることにあぐらをかき、機能強化を怠る」ことがないのは賞賛されるべきで、初期の「VOICEROID」から「VOICEROID+」、そして「VOICEROID+ EX」と、ソフトの機能強化も着実に行われている。こうした機能追加は、ソフトの使い勝手の向上に寄与するのはもちろん、ソフトの本分である「音声合成機能の強化」にも当然、繋がっている。フレーズごとの調整機能などは、まさにユーザが待ち望んでいたものではないだろうか。
音声合成ソフトというと、使ったことがない方は「いかにもコンピュータ的な合成音声」を想像されるかもしれないが、現在の音声合成ソフトはそのレベルをはるかに超えている。もう少しすれば、本当に「人間が話している」のと聞き分けがつかなくなるかもしれない……のではないだろうか。
(天野 司)