安定かつ高速な動作や高い操作性で定評のある仮想化ソフト「Parallels Desktop for Mac」の新バージョン。2016年秋に正式版がリリースされる次期Mac用OS「macOS Sierra(10.12)」に対応する。「Parallels Desktop for Mac」は、ソフトウェア的に“仮想マシン”を構築し、WindowsをはじめとしたゲストOSを、Mac上で使えるようにするソフト。Apple純正の「Boot Camp」とは異なり、ゲストOS起動時の再起動は不要。複数のOSのデスクトップやアプリケーションを“シームレス”に利用できる。
新バージョン「12」では、macOS Sierraに対応し、macOS Sierraのストレージ最適化機能「Optimized Storage」を直接、コントロールすることができる。2016年8月に配布が開始されたWindows 10の最新アップデート(バージョン1607)にも対応。Windows 10の新規導入時には、Microsoft社のアライアンスサーバに接続して、ウィザード上から直接、OSをダウンロード・購入できるようになった。全体的なパフォーマンスや操作性も向上した。例えば、ゲストOSのサスペンド状態からの復旧時間の改善(従来比最大60%高速化)、仮想マシンの共有フォルダの操作の高速化(同25%)などが図られ、従来以上に快適に使えるようになった。“よく使うタスクを簡単に実行できる”ツール集「Parallels Toolbox for Mac」も搭載する。
仮想マシンの構築および仮想マシン上へのOSのインストールは「Parallelsウィザード」で行う。組み込みたいOSがすでに手元にある場合には、インストーラ(DVD/メディア)を指定すればよい。ウィザード上でWindows 10を購入したり、さまざまなOS(Chrome OS、Ubuntu、Android OS、Fedora)を無料で入手したりもできる。
Windowsマシンの環境を丸ごと引っ越しする(仮想マシンとして取り込む)ことも可能。Windowsシステムのある外部ストレージをマウントしているか、起動中のパソコンがネットワーク接続されていれば、自動的に認識され、仮想マシン化が実行される。
仮想マシンの表示モードは、
- Coherence(コヒーレンス):macOSとゲストOSの環境が完全に統合され、ゲストOSのアプリケーションで開いたウィンドウが、Macのデスクトップに表示される
- Modality(モダリティ):ゲストOSのデスクトップをmacOSの1ウィンドウとして表示。ゲストOSの環境がmacOSの1アプリケーションのように動作する
- フルスクリーン:デスクトップがゲストOSの環境に切り替わり、フルスクリーンで表示される
の3種類。表示モードは、メニューバーまたはステータスメニューからいつでも切り替えられる。動作は快適だ。例えば、ゲストOSとしてWindowsをインストールすると、ドックに「Windowsアプリケーション」および「エクスプローラ」フォルダが追加され、Windowsのアプリケーションやエクスプローラをドックからすぐに開くことができる。各アプリケーシションはmacOSのアプリケーションと同様に扱うことが可能。例えば、Launchpadから起動したり、Spotlightで検索したりもできる。Macに接続されたプリンタやカメラ、Bluetoothデバイス、さらにはMacのジェスチャ機能も、Windowsのアプリケーションでそのまま利用することが可能だ。
Windows 10のさまざまな新機能を利用することも可能。音声認識アシスタント「Cortana」に対応し、音声によるコマンド入力や検索を行うことができる。手書き入力機能「Windows Ink」を、WordやPowerPointなどの(ペン入力に対応する)アプリケーションで利用することも可能。「自動メンテナンス」機能のスケジュール設定も利用できる。メンテナンスの実行時期、時間帯を設定すれば、作業を中断させるような急なアップデートを回避できる。
ホームユーザ向けの「Parallels Desktop for Mac」のほかにも、開発者、テスター、パワーユーザ向けの「Parallels Desktop for Mac Pro Edition」などのエディションがある。