細かいところまで作り込まれた、上級者向けの全文検索ソフト。インクリメンタルサーチによる絞り込み表示、さまざまな条件検索を使い分けられるSpecial Search、マルチタブ表示、検索設定のプリセット(Search Set)登録など、充実した機能が光る。一方で、メニュー項目をはじめとするユーザインタフェース全体の表記が英語なので、この種のソフトがはじめての人にはややハードルが高そうだ。ほかの(同種)ソフトでの経験がないと“直感的な操作”とはいかないだろう。とはいえ、使い勝手に関してはよく練られている。例えば検索対象フォルダの指定では、フォルダ選択用のコモンダイアログを呼び出すボタンが存在しないという、一見「ありえない仕様」なのだが、実はフォルダ指定用コンボボックス自体もインクリメンタルサーチになっていて、パス名の一部を入力すると、どんどん候補が絞られてゆく。「親フォルダの名前を指定して区切りの「\」記号を入力すると、今度はサブフォルダのリストが現れる」というように、パス入力に慣れた人にとっては非常に使いやすい(そのほかに履歴の表示も可能)。
AND検索やOR検索を簡単に使い分けられるSpecial Searchもとても便利だが、明示的に【Enter】キーを押して実行しなければならないので、メイン画面だけ見ていても機能の存在自体に気づかないかもしれない。
通常はインクリメンタルサーチのおかげで、文字を入力するとその場でどんどん検索が行われるので、「検索の実行」を特に意識する必要はないのだが、そこをうまく利用して【Enter】キーにSpecial Searchを割り当てている。その上で、もしSpecial Searchの使い方がわからなくても、「AND」検索に関しては誰でもわかる専用のテキストボックスが設けられているといった配慮も見せてくれる。
そのほかにも検索対象をファイル名のみに限定する(ファイル内の文字列については検索しない)オプションや、マッチングした内容は表示せずに、ファイル名だけを表示するオプション、マッチした文字列の前後の行まで含めて表示できるオプション、実際に内容を表示したファイルの履歴を呼び出せる“Jump List”、リストやパスのクリップボード転送など、実用性の高い機能が揃う。
プログラム開発やWeb制作をはじめ、文献や資料の管理など、テキストデータの参照・編集を行う機会の多いユーザにとってはかなり魅力的な一本だ。
(福住 護)