複数の処理パターン(メソッド)を組み合わせることにより、複雑な命名規則での名前変更も簡単に行えるファイルリネームソフト。変更後の名前をリアルタイムで確認しながら、作業を進めることができる。「Advanced Renamer」は、ユーザの指定した命名規則にもとづいてファイル/フォルダの名前をまとめて変更できる高機能“バッチリネームユーティリティ”。「新しい名前」「番号の振り直し」「置換」など、計14種類のメソッドを組み合わせることが可能。JPEG画像のExif情報やMP3オーディオのID3タグなどを参照・利用してリネームを行うこともできる。処理時にファイルを移動したり、コピーしたりすることも可能。実行した処理を元に戻すUndo機能も備える。
メイン画面は、左側にメソッドの設定エリア、右側にはリネーム対象の追加およびリネーム後のプレビューエリアが配置された2ペイン構成。右ペインは処理対象に応じて「ファイル」「フォルダ」の二つのタブ画面を切り替えて利用する。処理内容は「リネーム」「コピー」「移動」から選択できる(「フォルダ」は「移動」のみで「コピー」は選択できない)。
処理対象のファイル/フォルダの追加は、ツールボタンやタブ画面右に表示される「フォルダパネル」で行えるほか、エクスプローラや「フォルダパネル」からのドラッグ&ドロップでも行うことが可能。「ファイル」タブ画面でフォルダを追加した場合は「(当該フォルダ内の)ファイルを追加するのか、フォルダを追加するのか」「サブフォルダを含めるのか」を指定したり、ファイルの追加ではマスクや正規表現で対象をフィルタリングしたりできるようになっている。
処理対象として追加したファイル/フォルダのリストは保存し、あとから読み込むことが可能。リストアイテムの順番を入れ替えたり、画像ファイルのサムネイルを表示させたりすることもできる。ユーザがリストで選択したファイルは、画面下部の「ファイル情報」エリアに、データの種類やサイズ、作成日時・更新日時、属性、著作権者などの情報が表示される。画像ファイルのExif情報を確認することも可能だ。
リネーム規則の指定は、左ペインの「リネームメソッドの設定」で行う。追加したメソッドに対して文字列や置換方法などのパラメータを指定して、命名規則を作成してゆく。一部のメソッドでは正規表現も利用できる。指定できるメソッドは14種類。
- 新しい名前
新しい名前を作成する。任意の文字列を入力・指定できるほか、タグを使用することにより、ディレクトリ名や拡張子などを利用した名前をつけることができる - 新規作成
大文字/小文字の変換(オリジナルのメソッド名は“New Case”) - 移動
既存のファイル名で使用されている文字列を移動する。例えば「先頭から3文字を指定の桁位置へ移動する」といった使い方ができる - 除去
文字列の削除。開始位置と文字数を指定できる - パターン削除
指定した文字列のパターンにマッチしたものを削除 - 番号の振り直し
文字列部分はそのままに、数字部分だけ番号を振り直すことができる連番作成機能。開始の値やステップ数、スキップ(増加ステップ)、桁数などを指定できる - 置換
文字列の置換 - 追加
指定した桁位置に任意の文字列を挿入 - リスト
新しいファイル名を指定したリストを作成する。リストの保存と読み込みが可能 - 入れ替え
指定した区切り文字の前後を入れ替えられる。複数の区切り文字がある場合は、何番目を基準にするかを指定できる - クリーン(トリム)
アンダースコアやハイフンなどの記号をはじめ、不要な文字列を削除する - 属性
アーカイブ属性、読み取り専用、隠し属性、システム属性の四つのプロパティを変更する - タイムスタンプ
作成日時、アクセス日時、更新日時の三つに対してタイムスタンプを設定できる - スクリプト
上記のメソッドでは対応できない処理をJavaScriptで記述する。スクリプト実行前に行う処理も指定できる
複数のメソッドを指定すると、連続的に処理される。メソッドの処理順を入れ替えたり、有効/無効を切り替えたりすることも可能。作成したメソッドの保存・読み込みにも対応する(サンプルとして四つのメソッドが収録されている)。メソッドのうち、移動や除去、番号の振り直しなどではパラメータを数値で指定する。一方、新しい名前やパターン削除、置換などでは任意の文字列を入力したり、タグ(メタ文字)を指定したりすることができる。タグはメソッド設定用エリアやダイアログで選択することが可能で、ユーザが手入力する必要はない。「新しい名前」メソッドでは、デフォルトタグ(拡張子やディレクトリ名など)のほかに、ID3/MP3タグ、イメージタグ(画像のサイズやカメラの機種名、撮影情報など)、作成日時や更新日時などのタイムスタンプ、ファイルサイズ、GPS位置情報なども利用できる。
さらにメソッドの適用範囲として「ファイル名」「拡張子」「ファイル名と拡張子」のいずれかを指定することで、ファイル名のみのリネームや拡張子まで含めたリネームなどを自在に使い分けられる。
メソッドの設定を行うとリストが更新され、変更後のファイル名を事前にチェックすることが可能。メソッド自体にエラー(無効な指定)がないかどうかもチェックできる。チェック方法には「一括テスト」「自動テスト」の2種類がある。リネームの結果、同一の名前になってしまう場合の処理方法としては、エラーメッセージの表示や連番の付加などを指定することが可能だ。
実際にリネーム処理を実行する場合には「一括処理を開始」ボタンを使用する。処理を元に戻すための「一括処理を元に戻す」ボタンも用意されている。コマンドラインからの実行にも対応する。