数年前は、初心者向けの動画編集ソフトといえば、- DVやAVCHDといったビデオカメラからの直接取り込み、DVDやビデオキャプチャボードからの直接取り込みが可能で、取り込み結果に対してわかりやすいウィザード形式の動画編集機能を搭載
するものが一般的だった。では、最新のビデオ編集ソフト「Filmora 動画編集 プロ」ではどうか?──ソフト名に「プロ」と付いてはいるもの、価格を見れば、“初心者向け”“入門者向け”に分類しても差し支えないだろう──ビデオカメラからの直接取り込み機能はなく、すでにパソコンに取り込まれたファイルを編集するタイプだ。たしかにWebカメラからの取り込みは行えるが、画質などを考えれば、やはり既存の動画ファイルの編集が中心になっている。ウィザード形式の動画編集モード(簡単編集モード)も備え、少ない手順で見栄えのする動画を作成できるが、一方の「高度編集モード」はというと、ものすごく本格的な機能を利用できる。とりわけビデオフィルタの種類や動画合成などの機能を見ると、プロ向けソフト顔負けの機能が揃い、驚かされる。例えばティルト/シフトレンズの効果を適用して「ミニチュア撮影」風の動画を作れたり、ピクチャ・イン・ピクチャ、クロマキー合成などを利用できたりするのは、入門者向けソフトでは他に類を見ない。
入門者でも簡単に使えるソフトでありながら、以前と機能の傾向が異なるのは、スマートフォンの普及と無関係ではないだろう。高画質の動画がビデオテープやDVDなどのメディアではなく、直接、パソコンに取り込める「ファイル」で手に入るようになったのは、スマートフォンの普及あってのことだ。結果、動画取り込み機能を簡略化し、エフェクトなどの機能に重点を置いた開発ができるようになった、とも考えられる。
いずれにしろ「Filmora 動画編集 プロ」は、豊富な機能や快適な使い勝手など、まさに“いま風”の動画編集ソフトだといえる。とりわけ動画加工機能のバリエーションは、多くの人を満足させるに違いない。「手軽に高画質な動画作品を作りたい」という方に強くお勧めしたい一本だ。
(天野 司)