高級オーディオで聴いているような感覚を味わえる“ハイレゾ”メディアプレイヤー「JRiver Media Center」の新バージョン。ディザリング形式を選択できるようになった。「JRiver Media Center」は、さまざまな形式の動画・音楽ファイルを管理・再生・変換できるマルチメディアプレイヤー。ローカルディスクに保存された音楽・動画・静止画ファイルの管理・再生・表示からネットワーク経由でのストリーミング再生やメディア再生、リッピング/ライティングなどまで可能。もちろん最大の魅力は、ハイレゾ音源を高音質で再生するオーディオ再生機能だ。新バージョン「21」では、ディザリング形式を「JRiver ビット-イクザクト ディザリング」「TPDFディザリング」から選択できるようになったほか、出力時のサンプリングレートに705,600Hz(705.6kHz)および768,000Hz(768kHz)が追加された。テレビの録画オプションも改善された。
ハイレゾ音源の再生では、一般的に採用されている192kHz/24bitのリニアPCM音源はもちろん、これを超えるハイレート/ハイビット音源にも対応。従来も最高384kHz/32bitまで対応していたが、新ージョン「21」では、さらに倍の768kHzという超ハイレートにまで対応した。
“1bitオーディオ”といわれるDSD(Direct Stream Digital)でも対応範囲が拡大された。従来はDSDのうち、ネイティブDSDで1xDSDから4xDSD(DSD512)までの対応だったが、新バージョンではより高い周波数の8xDSD(DSD1024)にも対応した(リニアPCMとはエンコードの原理が異なり、同列には比較できないが、単純にサンプリング周波数だけを比較すれば、8xDSDは45MHz以上になる)。
さらに、DSDをパケット化してPCM伝送ラインに乗せることを可能にしたDoP(DSD Audio over PCM Frames)では、従来は1xDSD DoPから2xDSD DoPまでだったが、新バージョンでは倍の4xDSD DoPにも対応した。
ハイレゾ音源の再生には、専用API(Windowsの一般的なサウンド再生APIでは再生できない)と対応機器(サウンドボードやUSB外付けDACなど)とが必要。「JRiver Media Center」では、標準ハイレゾ再生APIであるASIOおよびWASAPI排他モードに対応し、対応機器さえ用意すれば、元音源の音質を劣化させることなく高音質を楽しめる。
充実したリアルタイム処理も特徴のひとつ。再生ゲイン、パラメトリックイコライザ、ルーム補正、ヘッドホン補正などのDSP機能を搭載し、リアルタイムでこれらのDSPを適用しながら、エフェクト再生を行える。DSPとしてVSTプラグインを利用することも可能だ。
例えば44.1kHz/16bitなどの“通常音質”音源を、リアルタイムでアップサンプリングし、ハイレゾ変換して再生する機能もある。同じハイレゾでも、音質的にはより有利といわれるDSDにリアルタイム変換することも可能。DACがDoP対応であれば、通常のPCM音源をリアルタイムでDoP変換して再生することもできる。そのほか、CDのリッピング時に、通常音質の音源をアップサンプリングしてハイレゾで保存することも可能だ。
新バージョン「21」では、ほかのデバイスとの連携機能やプレイリスト機能も強化された。Android/iPhone対応のスマホアプリ「JRemote for JRiver Media Center(有償)」をリモコンのように使い、パソコンで動作している「JRiver Media Center」をコントロールすることが可能。逆に「JRiver Media Center」をストリーミングサーバとしてパソコン上の音楽や動画をストリーミング転送し、スマホ上で再生させることも可能だ。
アーチスト名や曲名から、手持ちの曲でよく似たジャンルのものを探し出し、プレイリストを自動構築する機能「プレイドクター」を搭載するが、新バージョンでは、クラウドサーバ上にプレイリストをアップロードして、ほかユーザとプレイリストを交換できる「Doctor Who」が追加された。サジェストされた曲が自分のパソコンに保存されていない場合でも、インターネット上の試聴可能な楽曲データを自動的に検索する。