幼いころに天狗の国を追放された少年と超能力者の少年の二人が、天狗の国でひと夏を過ごす青春紀行ビジュアルノベル。正体不明の敵や天狗とのバトルの末に二人が得たものは……。5年前に故郷を追放された少年のもとに幼なじみの姫から手紙が届く
「キリンの国」は、夏休みに訪れた「天狗の国」での二人の少年の体験がじっくりと描かれたビジュアルノベル。昔ながらの生活をいまだに続ける天狗の国に密入国した二人は、そこでどのような経験をし、どのような結末を迎えるのだろうか。
物語の舞台は二十世紀末の架空の日本。天から力を授かり、天に仕える器の民「天狗」と称する者たちが、各地に点在する自治領区――通称「天狗の国」──で昔ながらの独自の生活を営んでいた。
主人公は二人の男子中学生。といっても二人とも普通の中学生ではない。一人は反乱首謀者の子どもとして5年前に天狗の国から追放され、もう一人は「PTK値超過者」――いわゆる超能力者の少年だ。
反乱首謀者の子ども「キリン」のもとに、生まれ故郷・鞍馬特区の姫から手紙が届いたことで、二人は夏休みを利用して天狗の国に旅行することになる。しかし、キリンは国外追放の身。もう一人の少年「圭介」も、その能力ゆえに県外移動許可が下りる可能性は低い。そこで二人は「密入国」という手段を選択した。
キリン、そして姫をめぐる天狗たちの陰謀、自治領区における二つの階級「天狗」と「狗賓(ぐひん)」の確執、姫が滞在する湯治場の近くで頻繁に出没する正体不明の人さらい――さまざまな事態と思惑が錯綜する中、二人の旅路はいかなる結末を迎えるのだろうか……。
天狗、狗賓、化けと、それぞれ出自の異なる多彩なキャラが登場
「キリン」は、空気が読めず、友だちのいない天然キャラ。いつもマイペースで押しが強い。鞍馬特区出身の天狗。不世出の大天才と期待されながらも、七尾狐のフウコとともに反乱を起こし、史上最悪の殺人鬼として──天狗でありながら──鬼と呼ばれた男「イカズチ丸」の息子。そのため国外追放処分となり、現在は人間の国で生きている。
「圭介」は本作の語り部で、キリンの唯一人の友人。PTK(ポテンシャルテレキネシス)値超過者のため、さまざまな制約を受けている。優柔不断なところがあり、文句をいいつつも、キリンに振り回されることが多い。
「ヒマワリ」は、鞍馬特区の姫様。キリンの幼なじみでガールフレンド。キリンの追放後、5年間まったく連絡が取れなかったことを不満に思っている。黄金の髪をした美少女で、黙っていればおしとやかな姫に見えるが、実は饒舌で活発。
「杏」は、天狗の国の生産階級に当たる狗賓の少女。男勝りな姉さん肌の僕っ子。姉さん組の組長として、男衆とその妻たちが留守の間の郷の作業を取り仕切る。天狗の司のバカ息子たちに絡まれているところを圭介らに助けられたことから知り合う。
「ウルマ」は、超マイペースな鬼子。小学生かと思うほど小さいが、絶大な能力を持つ。狐の化けの「ホオズキ」とともに産作ノ司「ヒデウミ」に仕える。ヒデウミのいうことしか聞かない。
「おクワ」は、ヒマワリに仕える女中のリーダー。キリンの天敵のような存在で、キリンは子どものころ、おクワから折檻を受けていたため、苦手にしている。
そのほかにも多彩なキャラクタが登場する。