日本の片田舎とどこだかわからない世界とで同時進行する二つの物語が淡々と描かれる短編ノベルゲーム。二つの世界で同時進行する不思議な物語
「天国の回廊」は、二つ世界で二つの物語が同時進行する、ちょっと不思議な感覚の短編ノベルゲーム。想定プレイ時間は15分から25分程度。気軽にプレイできる。
ゲームの語り部の一人は、自分のことを「僕」という少年。誰もいない部屋の中にたった一人で住み、「手が未熟で足も未熟、身体すべてが未熟で、しゃべることもできない」と自らのことを語る。
もう一人の語り部は、ある田舎町でバスの運転手をしている男性。客の顔を何となく観察することを運転中の気晴らしとしていたが、ある日、くたびれた中年男がバスに乗り込んでくる。ほかに客もいない二人だけのバスの中、しばらくして中年男は「少し私の話を聞いてくださいますか……」と運転手に話しかけてくる。
「僕」とバス運転手との二人の物語が少しずつ交互に語られ、やがて一つの物語として終焉を迎える……。
物語の登場人物は年齢も性別もバラバラの、接点がなさそうな四人
物語の登場人物は全部で四人。
自分のことを「僕」というまだ幼い少年は、自分の名前も知らず、なぜ自分が一人でいるのかも知らない。夏の間ずっと一人で過ごしていた。
「僕」の前に姿を現す少女は、活発でちょっと悪戯っぽい性格。「雪が降ると、もうここにはいられない」といって。「僕」をみなのいるもっと平和なところへと導く。
バスの運転手は、数年前に会社をクビになってしまい、そのため現在の境遇にある。娘が一人いたが、4〜5年前に交通事故で亡くなってしまったらしい。生きていればいまごろはもう成人を迎えていたとのこと。
くたびれた中年男は、いまはただ疲れきった表情をしているが、瞳の奥には切り裂くようなオーラがあり、仕事では大きな顔をできているように見える。ただし、プライベートではあまりよいことはなさそうな、いたって地味な外見をしている。10年前に家を出て田舎を離れ、独立して家族と生活している。