ソフトを開発しようと思った動機、背景
前作「紅蜘蛛 / Red Spider」は、おかげさまで多数の方にプレイしていただき、「この作品をプレイして香港映画に興味を持った」という、うれしい感想もいただきました。前作では間口を広げるために全ルートハッピーエンドにしたのですが、本場の香港ノワールといえば因果応報の壮絶な結末を迎える作品も少なくありません。そこで本作ではそういう雰囲気も再現しつつ、より「業」というものを深く描いたハードな作品にしたいというコンセプトで制作しました。
開発中に苦労した点
前作の感想でいただいたものに「もう少しボリュームがほしい」「全ルートの共通部分が多いので、既読でなくてもスキップできるようにならないか」という内容が多かったので、本作では分岐後は共通文章をほとんど含まないようにしてみました。その結果、前作は共通文章込みでトータル14万字程度だったのが、本作はほとんど含まずに30万字を超え、シナリオ執筆だけで4ヵ月かかりました。その分読みごたえがあるものになったと思います。
また、本作では物語の舞台となる場所の地理関係を設定するために、Googleマップで移動所要時間を調べたり、劇中で出てくる監視システムが2007年当時の民生品で構築可能かどうかを検討したりと、前作よりも考証に気を遣いました。
プレイヤーにお勧めしたい点
本作は前作よりも規模がスケールアップし、登場人物も増えて、より濃密な人間関係が描かれます。特に最終ルートである「永孝編」は全ルートの伏線が回収される集大成的なルートですので、ぜひ最後までプレイしていただければと思います。前作をプレイいただいた方だと、さらに特別な感慨を覚えていただけるはずです。広東語のほかに北京語、タイ語、英語、モールス符号、手話までを含めて多様な言葉が飛び交い、それによって駆け引きが行われるストーリーになっているのも見どころのひとつです。
そして、ハードでエモーショナルなストーリーを、塩生康範さん(エストポリス伝記シリーズ)と中島享生さん(パズル&ドラゴンズ)の楽曲が最高に盛り上げています。このお二人はかつてネバーランドカンパニーというゲーム会社でともに作曲を担当しておられ、十数年ぶりの共同作品となります。使用楽曲を個別に視聴できるサウンドトラックモードも搭載していますので、“ネバーランド”サウンドをご堪能ください。
そのほかの追加要素としては、分岐地点がわかりやすく、物語の節目にダイレクトジャンプしてプレイ再開できるルートマップ機能があります。別ルートに移るとき、あの場面を読み直したいというときにご活用ください。また、本作では楽曲も含めて香港ノワール作品へのオマージュが前作に増しててんこ盛りになっています。香港ノワールに興味を持ってくださる方がさらに増えることを祈念しています。
次回作について
シリーズ三部作としては「紅蜘蛛3 / Red Spider3」が完結作となりますが、その前に、年内に外伝を制作する予定です。「1」と「2」の間の時期の話で、「來」が探偵となって「越児」と事件を解決するような内容を構想しています。
最後に、公式サイト(http://www.rpgdl.org/rsl2/)では感想を随時受付中です。好きなキャラやシナリオのアンケートもとっていますので、ぜひご参加ください。
(studio wasp)