複数のゲストOSを実行できる仮想化ソフト「Parallels Desktop for Mac」の新バージョン。OS X Yosemite(10.10)に対応し、iOSとの連携機能が強化された。操作性も向上し、全体のパフォーマンスもアップした。「Parallels Desktop for Mac」は、OS X内に作成した仮想マシン上でさまざまなOSを動作させることができる仮想化ソフト。Apple純正の「Boot Camp」とは異なり、Macを再起動することなく、WindowsをはじめとしたゲストOSを利用できる。さらに「Windowsのデスクトップを非表示にし、アプリケーションウィンドウをMacのアプリケーションと並べてFinder上に配置する」といった使い方も可能で、複数のOSをシームレスに利用することが可能だ。
新バージョン「10」では、OS X Yosemiteに対応したほか、仮想マシン(Windows)導入時に主な用途を「業務用ツール」「ゲームのみ」「設計」「ソフトウェア開発」から選択することにより、メモリ割り当てやフォルダ共有などの設定が自動的に最適化されるようになった。そのほかにも、さまざまな機能強化が図られている。
対応するゲストOSは、3.11以降のWindowsをはじめ、Linux、Chrome OS、Android OSなど。OS X(10.5以降)にも対応し、異なるバージョンのOS XをMac上で同時に動作させることもできる。共有フォルダを利用したり、クリップボードを介してデータをコピー/ペーストしたり、アイコンをドラッグ&ドロップしたりといった操作も──Mac−ゲストOS間およびゲストOS−ゲストOS間で──シームレスに行える。
ゲストOSの表示モードは3種類から選択できる。
- Coherence(コヒーレンス):ゲストOSのデスクトップが消え、アプリケーションウィンドウがMacのデスクトップに直接表示される
- Modality(モダリティ):ゲストOSが1ウィンドウ内に表示され、常に最前面に置かれる
- フルスクリーン:ゲストOSがフルスクリーンで表示される
特にCoherenceモードでは、ゲストOSの複数のアプリケーションをMacのデスクトップ上に並べて配置することができ、OS Xのアプリケーションと同様の感覚で利用できる。仮想マシンのインストールには、OS別のウィザードが用意されている。各OSのインストールメディア(USBメモリ/DVD)またはイメージファイル(ISO)を指定するだけで、仮想マシンの作成からOSのインストール、初期セットアップまでが連続して実行される。アカウント登録や製品のアクティベートもウィザード上で行うことが可能だ。
インストール時にはビデオ、サウンド、ネットワークなど、必要なデバイスドライバなどがすべて自動で組み込まれ、Macで使っているキーボード、マウス、ネットワークルータ、スピーカーなどをゲストOSでもそのまま利用することが可能アド。
Boot Campパーティションからの仮想マシン(Windows)の起動も可能(新たに別環境としてWindowsのアクティベートが必要)。Boot Campパーティションからのデータのインポートにも対応し、新たにアクティベートすることなく、「Parallels Desktop」の環境に移行することができる。
新バージョン「10」では、ファイルの残骸がたまりやすい仮想ハードディスクでは必須となるクリーンアップ(ディスクの再利用、圧縮)作業を、ユーザが意識することなく、自動で行ってくれる機能(リアルタイム最適化)が追加された。OS X Yosemiteで搭載された新機能にも対応し、例えば、
- WindowsのファイルをiCloud Driveに保存する
- Windowsのファイルを、AirDropを使ってiPhone/iPadに送信する
- Windowsで作業しながら、iPhoneのFaceTimeで電話をかける
といったことも可能になった。