読後感のよい、ハートウォーミングなノベルゲーム。父親の莫大な遺産を引き継いだものの、やりたいこともなく、自堕落な生活を送っていたイケメンの青年が、幼女に脅迫されて右往左往する。ある朝、突然脅迫され、見知らぬ幼女と同居生活をするハメに
「falling」は、「大金持ちの青年が酔っ払ってお持ち帰りした幼女に振り回される」という設定のノベルゲーム。ほぼ一本道のストーリーだが、最後にひとつだけ選択肢がある。正解すると、オマケの後日談を読むことができる。
主人公は、数年前に父親を亡くし、莫大な遺産を引き継いだ青年「マクビー」。女性と見紛うばかりの美貌と資産家であること以外にはこれといった取り柄はなく、やりたいこともなかった。そのため、未成年でありながら年齢を偽り、高級ナイトクラブに入り浸って酒に溺れるという自堕落な生活を送っていた。
そんなある日の朝、目覚めるとベッドの中にどう見ても未就学児にしか見えない少女が眠っていた。少女はマクビーに誘拐され、服も破かれてしまったと言い張る。マクビーにはそんな記憶はないが、自宅の防犯カメラのレコーダには、確かにマクビーが少女を抱きかかえて家に連れ込む姿が録画されていた。
レコーダを奪い取ってマクビーを脅迫する少女。折悪しく世間では半年前から相次ぐ「連続児童誘拐事件」が注目を集めていた。果たしてマクビーは、このピンチを切り抜けることができるのだろうか……。
一見、アクの強さを感じさせるほど個性的なキャラが物語に深みを与える
物語のヒロイン(?)は「シャロン」。白くてこぢんまりとした頼りない体、まるまるとした大福のようなしまりのない頬、くりくりした愛らしい瞳の幼女だ。年相応の幼い言動も多く、食い意地がはっているが、聡明でしたたかなところもある。人見知りだが、なぜかマクビーにはよくなついている。
「シド」は、マクビーの父親の旧友。マクビーの後見人でもあり、資産管理などを引き受けている。放蕩三昧のマクビーの世話をあれこれと焼いてくれる、面倒見のよい老人だ。
「マロン」は、郊外のおんぼろビルに事務所を構える「自称・元天才少年探偵」。見た目はマクビーよりも若いが、実年齢はマクビーの倍近い。少年探偵時代に調子に乗って建てたオフィスの借金で借金取りに追われ、貧乏生活を送っているが、腕は確か。
女Aこと「アリシア・グレース」は、マクビーが入り浸っているナイトクラブのボトルガール。写真家志望で、生活のためにクラブで働いている。マクビーのことを何かと気にかけてくれる。
そのほかにも、ドピンク頭のクラブ店長やスーパーマンのおじさんなど、個性的なキャラクタが物語を彩る。