デザインシンキングによるデスクトップアプリの再定義
モバイルアプリが注目される昨今、デスクトップアプリの在り方(価値)を人を中心とした発想起点から再定義したいと考え、「Antelope」を設計・開発した。そのターゲットとして、筆者(開発者)自身も頻繁に利用する画像最適化ソリューションを選択した。画像最適化をカジュアルユーザの視点で見ると、デジタル写真データファイルの容量削減により、少しでも多くの写真をストレージ(ローカル/クラウド)に保存することが可能となる。一方、デジタルクリエイターの視点から見れば、ユーザエクスペリエンスの観点から必要性は明確だ。つまり、ニッチながら確実な需要がある。
この分野において、市場には多数のアプリやクラウドサービスがすでに存在している。筆者も旅行で撮ったデジタル写真をメモリカードからクラウドストレージにアップロードする際や、「Voralent」のアプリやWebサイトで利用する画像データを最適化するため、既存のアプリサービスを使い分けていた。
「Antelope」のアイデアは、このような「アプリを使い分ける手間」からの解放を起点としている。このアイデアをベースにデザインシンキングというメソッドを用い、市場にある既存アプリの問題や課題を分析。モバイル時代におけるデスクトップアプリの価値を再確認した上で、どのようなインタフェースであれば使いやすいかを考える。「Antelope」のデザインはそこからスタートした。
「Antelope」の特徴
「Antelope」のユーザエクスペリエンスは、操作手順の最適化を軸に最大化させている。大胆に機能を限定し、最小の操作手順で本来の目的を実現できることを目指した。
例えば、標準状態では画像ファイルは上書きされ、バックアップ機能はOFFとなっている。これは、品質非破壊による最適化を行うため、本来バックアップは不要であるためだ。この仕様には「元に戻せなくなる」という状況に不安を感じるユーザが多いかもしれない。しかし、実際には変換時に一時的なバックアップを自動生成している。最適化処理中に不慮の事故が発生した場合でも、オリジナルファイルが消えることを回避するためだ。自動バックアップデータは正常に最適化が完了した場合のみ削除される。そのほか、ユーザ負荷を軽減するため数多くの工夫を詰めた。
イノベーションの源泉は人にあり
「Antelope」は、デジタル画像を扱うすべてのユーザに付加的価値を提供することを目指し、現在も改善を継続している。本ソフトウェアに関してご意見・ご要望があれば、Voralentカスタマフィードバック、ソーシャルメディア、また筆者のblogにメッセージをいただきたい。筆者は単に「Antelope」というアプリを作るのではなく、ユーザとともにソフトウェアの未来を創るという一種のイベントを楽しみたいと考えている。
(Voralent Computer Solutions, Aki Miyamoto)