Windowsでアプリケーションプログラムを開発する際、常に考えないとならないのが「インストーラをどうするか」という問題。単体のEXEやすべて同一フォルダから実行可能なレベルのプログラムであるなら「アーカイブを展開したフォルダからプログラムを実行してください」といった対応もできるだろうが、例えば「OCXやActiveXコントロールをシステムに登録しないといけない」とか「スタートメニューにプログラムを登録したい」とかいったことを考えると、どうしてもインストーラを用意する必要がある。しかし、このインストーラ、いざ用意するとなると意外に面倒。あらかじめ決まったフォルダにファイルをコピーするだけならバッチファイルレベルでも不可能ではないし、その気になればOCXの登録だってバッチファイルでできるとはいえ、Windows Vista以降に導入された「ユーザアカウント制御(UAC)」を考えると、管理者権限の問題も出てくる。なにより最近はそもそも「コマンドプロンプト」の使い方を知らなかったりする人も少なくない。やはり「アイコンからInstall.exeなりSetup.exeなりをダブルクリックするだけでプログラムがインストールできる」という環境は必要だ。
Windowsでのインストーラといえば、まず思い浮かぶのが「InstallShield」だろう。Windowsでアプリケーションを開発した経験があるなら、多くの人が使ったことのあるインストーラ作成環境だ。なるほど、たしかにInstallShieldならプログラミングなしでインストーラを作成できないこともない。とはいえ、その面倒くささといったら「使ったことあるなら、わかりますよね?」で話が通じるほどだ。
そこで「EXEpress 6 Pro」。「EXEpress 6 Pro」でのインストーラの作成は、本当に楽だ。単純なプログラムファイルのコピーだけなら、ファイルが収められたフォルダを指定するだけだし、そのほかのさまざまなオプションも、基本的には「使う」「使わない」の選択だけでよい。プログラムのブランディング(例えば社名ロゴの表示やインストール時のバナー表示)にも対応し、EULA(ソフトウェア利用許諾契約)の表示も問題ない(カスタマイズ可能なプロダクトキーの入力・チェック機能でもあればいうことはないが、さすがにこれは欲張りすぎだろうか)。
アーカイバで圧縮ファイルを作成する程度の手順だけで、ここまで“使える”インストーラを作成できるのはすごい。「アプリケーション開発は行うが、インストーラには手間をかけたくない」という向きにはぴったりのソフトだ。商用利用はせず、個人レベルの利用であれば、一部の機能が割愛された「EXEpress 6 Lite」も用意されている。
(天野 司)