グループ別の分類や文字列検索でアカウント情報にすばやくアクセスし、クリップボードに転送したり、自動入力したりできるパスワード管理ソフト。「KeePass Password Safe Professional Edition」は、暗号化されたデータベースにパスワード情報を保存できる個人情報管理ソフト。データベースは複合マスターキーで保護され、「マスターパスワード」「キーファイル」「Windowsのユーザアカウント」を組み合わせてマスターキーに指定できる。パスワードの自動生成や安全性のチェック、カスタムフィールドの作成、データベースのメンテナンスなど、多彩な機能を備える。
データベースに記録される個々の情報は「エントリー」と呼ばれ、リスト形式で管理する。リストには「Windows」「ネットワーク」「インターネット」「電子メール」「ホームバンキング」などのフォルダが用意され、グループ管理することが可能。あらかじめ用意されたフォルダ以外に、ユーザが任意のフォルダを作成することもできる。選択したグループ内のエントリー一覧を印刷したり、ほかの形式のファイルにエクスポートしたりすることも可能だ。
初期状態で表示されるフィールド(カラム)は「タイトル」「ユーザ名」「パスワード」「URL」「備考」の五つ。「作成日時」や「最終アクセス日時」といったカラムを追加したり、既存のフィールドを非表示にしたりすることもできる。
エントリーに対する操作はフィールドごとに行う。各フィールドをダブルクリックした際の動作は、
- タイトル:アイテムの編集画面を開く
- ユーザ名:ユーザ名をクリップボードへ転送
- パスワード:パスワードをクリップボードへ転送
- URL:ブラウザを起動し、URLにアクセス
- 備考:備考の内容をクリップボードへ転送
となっている。エントリーに対する操作をドラッグ&ドロップで行うことも可能。例えばWebサイトのログオン画面で、アカウント名やパスワードをそれぞれのフィールドにドロップしてもよい。ユーザ名やパスワードのフィールドをクリップボードへ転送した場合は、一定時間経過後にクリップボードの内容が自動的にクリアされるようになっている。エントリーの追加時には、ダイアログ上でパスワードが自動生成される仕組み。生成されたパスワードをそのまま利用してもよいし、既存のパスワードがあれば、上書きしてもよい。「エントリーの追加」ダイアログではそのほかにも、
- パスワードの品質判定
- エントリーの有効期限の設定
- カスタムフィールドの作成
- ファイルの添付
- 配色のカスタマイズ
などを行うことが可能。カスタムフィールドに登録した文字列は、コンテキスト(右クリック)メニューからクリップボードにコピーできる。添付ファイルも同様に、コンテキストメニューからビューアを起動して内容を閲覧することが可能だ。登録済みのアカウントやパスワードは「自動入力」(Auto-Type)機能を利用して、アプリケーションに連続入力することが可能。シーケンス(入力順)はエントリー単位でカスタマイズできるほか、グループごとに設定しておいたシーケンスを継承することで、エントリーごとに個別設定する手間を省くこともできる。
エントリー内を文字列検索することも可能。マッチしたものはリスト表示される。オプションでは検索対象をタイトル、URL、ユーザ名、パスワードなどから指定できる。正規表現を使用したり、期限切れのエントリーを除外したりすることも可能だ。
エントリー新規作成時のパスワード自動生成とは別に、独立した機能としてのパスワード生成機能も搭載する。パスワードの文字数、文字の種類、必ず含めたい文字、パターンなどを設定でき、設定したパターンは新たなプロファイルとして保存できる。
より高度なオプションでは、同じ文字の連続使用やI(大文字アイ)とl(小文字エル)のように外見が似た文字の使用禁止、任意文字の除外などを指定できる。さらに、設定に従って作成されたパスワードのサンプルをプレビューすることも可能だ。
そのほかにも、イベントの発生を検知してさまざまな自動処理を行える「トリガーシステム」、プラグインによる機能拡張、データベースのメンテナンス機能などを備える。作者のホームページにはバックアップやデータの同期、インポート/エクスポートなどのプラグインが公開されている(http://keepass.info/plugins.html)。
英語版のソフトで、初期状態では日本語化されていないが、作者のホームページで公開されている言語ファイルを実行ファイル(keepass.exe)と同じフォルダに保存することで、メニューなどが日本語化される(メニューの「View」-「Change Language...」。http://keepass.info/translations.html)。