優秀な音声合成エンジンのおかげなのだろう。基本的なイントネーションはしっかりとできているし、句読点の後ろや括弧の前には適度な長さの切れ目が入る。さらに、疑問符(?)の前は尻上がりに読んでくれるなど、聴いていて“とても自然な日本語”だと感じる。いわゆる説明調の文章だけでなく、会話を含んだ小説などでも大きな破綻はなかった。漢字が続く長めの連語などで、たまにおかしな読み方をすることもあるが、それは単語登録で修正すればよい。日本語テキストだけということだが、英文も単語単位でカタカナ風に読んでくれる。
「単語登録」は、いわゆるフリガナというよりも、あくまでも「発音の仕方」を指定するためのもの。例えば、難易度の高い英単語(カタカナ読みとなる)でも、まったくの当て字でも、好きなように「読ませる」ことができる。さらに、高低アクセントまで指定できるのは実用的だ。
ただし、基本的に共通語のアクセントに則っているようで、共通語にはない特殊なアクセント(単語を平板に読む方言など)を登録することはできなかった。登録語を二つに分割して(「株式会社」「ベクター」など)、自然な発音に近づけるといった操作は可能だ。
(坂下 凡平)