ほかのデバイスが持つメディアファイルを、コピーや移動ではなく、ネットワーク経由で直接再生する「ストリーミング再生」機能。以前はさまざまな方式があったが、最近では「DLNA」にほぼ一本化されたといってよい。パソコンだけでなく、スマートフォンなどの携帯機器、テレビやレコーダといった家庭用のAV機器もDLNAに対応するため、デバイスの種類を問わず、同じデータを再生できる。……といえば、非常に便利なように思えるかもしれないが、いざ使ってみると、意外な制限が加わることもある。その最たるものが「再生側のデバイスで対応している形式に制限がある」ということだ。
動画再生にパソコンを使う場合にはあまり実感しないことだが、パソコン以外──特に家電製品など──の場合は、再生可能な動画形式は意外に限られていることが多い。MPEGやH.264などは再生できても、WMVやDIVXなど、パソコン由来の動画形式は再生できないといったことがめずらしくない。
こんなときに役立つのが、「Mezzmo」に搭載されたトランスコード機能だ。元ファイルとしてさまざまな形式のデータを読み込めるのはもちろん、再生側のデバイスを自動的に認識し、かつ、当該デバイスで確実に再生可能な形式へと自動的に変換してくれる。ほかのDLNAサーバにもトランスコード機能がないわけではないが、再生するデバイスに関係なく、常に同一の形式にトランスコードされるなど、機能的に制限がある場合が多い。「Mezzmo」ほど柔軟かつ幅広い形式に対応するものはほとんど存在しない。
この機能は、昨今のようにDLNA対応デバイスが増えてきた状態では特に重要だ。大画面のAV機器だろうと、スマートフォンだろうと、きちんとつながり、ネットワーク経由で確実に再生できる──そうした環境を作るのに最適のソフトだ。
(天野 司)