テンポよくサクサクと進めることができ、比較的短時間でプレイできる、おもしろいゲーム。登場するキャラの言動や、使用されているオリジナルのイラストなどが、意識的にアメリカのアニメやドラマのテンプレに則っているのも楽しい。ゲーム内の仕掛けも凝っている。シナリオの区切りごとにゲームの内容や次のステップへの移行条件が大きく変化し、プレイヤーを飽きさせないよう工夫されている。ゲームの展開には多少強引なところもあるが、「次はどうなるのか」と興味を引かれて、ぐいぐいと引き込まれてゆく魅力がある。
ただし、無駄を省いた簡素なシナリオなため、やや説明不足に感じられる点もある。短めのシナリオながら、独自のシステムが多く採用されている前編が特にそうだ。どうやったら先に進むことができるのか、かなり悩まされた。ここでクリアに使ったシステムが、ほかのパートでは使用されなかったこともちょっと残念に思う。
戦闘によるレベルアップがないことからもわかるように、敵との戦闘はあまり重要ではない。むしろパズル寄りのゲームだ。動き回っている敵の中にも一部、倒すべき存在はあるが、基本的には定位置のシンボル以外との戦闘は極力避けた方がよい。また、戦闘はかなり運の要素が強いため、戦闘の前にはできるだけセーブすることをお勧めする。
(秋山 俊)