画像を点の集まりで表現するビットマップ(ラスタ)形式では、拡大や縮小、変形などの加工を行うと、画質が大きく劣化する。斜めの線や円弧のようなカーブでは、拡大すると、細部が階段状にガタガタになってしまう「ジャギー」により、形そのものが大きく損なわれるし、色も濃度や色相が突然大きく変化して、不自然な印象となる。「SmillaEnlarger」は、このような画質の低下を抑え、なめらかで自然な加工を行えるソフト。さらに、切り抜きやそれにともなう縦横比の変更までまとめて行える。
画像ごとに異なる範囲をクロップしたい場合は、個別に指定すればよいし、単純に一定サイズに変換するだけなら、ファイルをまとめてドラッグ&ドロップすれば、一括処理してくれるので手間が省ける。
補間用パラメータが豊富で、細かく調整できるのに加え、「sharp」や「painted(絵画調)」といったプリセットが登録されているのも便利。英語版ソフトということもあって、パラメータの使い方がわかりにくい部分もあるが、プリセットをもとに手を加えてゆけばよいだろう。
プリセット値を変更する場合や自分で登録したセットを削除する場合は、そのつど「All Changes」というチェックボックスをONにする必要がある。多少手間ではあるものの、逆にいえば不用意に設定を変更してしまう心配はない。
変更の結果はプレビュー画面でただちに確認できるし、切り抜きの縦横比が簡単に選べてバリエーションが豊富なのも便利だが、さらに画像の回転ができると、より便利になるだろう。今後のバージョンアップに期待したい。
(福住 護)