個性的なキャラクタが数多く登場し、ストーリー展開や会話も無理がなく、とてもおもしろいSRPGだ。通常、ストーリーがおもしろいとか、会話が楽しいといっても、どうしても「どこかしらこなれてない部分」や「強引な部分」を感じるのだが、「木精リトの魔王討伐記」に限っては、これまでプレイした範囲ではそういうことを一切感じなかった。RPGの会話というよりも、むしろおもしろい小説を読んでいるような気分で楽しむことができた。この点、いままで筆者がプレイしたことのあるRPG系のゲームの中では、間違いなくずば抜けている。戦闘は、SRPGということでウォーシミュレーションゲーム方式が採用されているが、これに関してはプレイヤーの好みによって、評価が多少変わってくるだろう。使用するキャラや攻撃方法により、敵キャラに対するポジション取りが変化したり、攻撃が発動するまでのタイムラグなどがあったりと、バラエティに富んだ、スリリングな戦闘を楽しめる。
だが、その一方、オート戦闘のような簡易手段は用意されていない。魔法攻撃のターゲットが自動設定されるなどの機能はあるものの、基本的に毎回、キャラごとに操作を行う必要がある。タクティカルシミュレーションゲームに馴染みがあるかどうかで、好みが分かれそうだ。
いずれにしても、ゲームシステムとシナリオの完成度が非常に高く、間違いなくおもしろい。ぜひ、一度プレイしてみていただきたいゲームだ。
(秋山 俊)