見習い吟遊詩人が楽曲の演奏で敵と戦う中編ファンタジーRPG。丁寧に作り込まれ、登場するすべてのキャラクタが生き生きと描かれる。ただひとり、街に生きてたどり着いた見習い吟遊詩人が事態の解決に乗り出す
「Troubadour」は、半人前の吟遊詩人の少年が活躍する、シナリオ重視の中編ファンタジーRPG。凶暴なモンスターの出現で孤立し、森の中に閉じ込められてしまった街を救うため、歌を武器に戦う。タイプチェンジで主人公の能力や特性を変えたり、楽曲をつなげて効果を強化・変化できるメロディがあったりなど、さまざまな工夫が盛り込まれている。
ゲームの舞台は、長らく争っていた人間と亜人との間に休戦が成立し、平和が訪れようとしている世界。しかし双方とも、いまだすべての確執がなくなったわけではなく、時代の移り変わりに戸惑いを抱いていた。
主人公は、史実を歌にして、人々に伝え歩く吟遊詩人の見習い「リア・バルトーク」。ただし、自分の歌に自信がなく、人前で歌を歌うことが苦手なため、旅の途中で資金が尽きかけて、ピンチに陥っている。自身の女っぽい顔と貧弱な身体にもコンプレックスを抱いている。
霧で視界が閉ざされ、森の中で立ち往生していたリアは、「コーネ」という亜人の少女と出会う。コーネの道案内で目的地「ベネラ」に無事たどり着くことができたが、ホッとしたのもつかの間。ベネラは、森に出没するモンスターに人々が襲われ、食い殺される事態が発生して完全に孤立。誰ひとり出入りできない状態だった。
たったひとり、森を突破して街にたどり着いたリアに驚く街の人々。町長の懇願を受け、案内人の「クーガ」とともに、リアは森の調査へと乗り出す……。
楽曲を続けて演奏するメドレーで、どの曲とどの曲がつながるのか試すのも楽しい
「RPGツクールVX」で作成されたゲームで、基本的な操作方法やシステムはRPGツクールの作法にしたがうが、主人公の戦闘と成長(育成)には独特なシステムが採用されている。
戦闘システムでは、主人公が吟遊詩人であることから、魔法の代わりに楽曲を演奏して敵にダメージを与えたり、さまざまな効果を施したりする。演奏できる曲は最初のうちは「カノン」のみだが、ゲームが進むにつれて増やすことができる。
吟遊詩人にのみ備わる特殊技能「メドレー」は、演奏する楽曲のつながりでスキルが変化し、効果やダメージ量が変わるというシステム。例えば「カノン」を2回連続して演奏すると、2回目の演奏は「イフリートバレエ」に変化し、威力が高まるといった具合。演奏と演奏の間にアイテムでの回復などを使用しても、演奏をつなげらることができる。新たな楽曲スキルを習得するたびに「どの曲とどの曲をつなげると、どういう効果が出るのか」を試行錯誤するのも楽しみのひとつとなっている。
タイプを選択し、ポイントを消費してスキルを習得させながら、主人公を育成
成長システムでは、「タイプ」を変更して、主人公のバトルスタイルを変えられることが特徴。ゲーム開始時点では「見習い吟遊詩人」に固定されているが、レベルが上がったり、ストーリーが進展したりするにつれ、「歌う吟遊詩人」「弾く吟遊詩人」「戦う吟遊詩人」など、選べるタイプが増える。タイプチェンジはいつでも、何回でも行うことができる(タイプチェンジによるペナルティはないようだ)。
選択したタイプにより、装備可能な武器や覚えられるスキル、ステータスなどが変化し、キャラの特性が変わるのもおもしろい。スキルは自動的に取得されるのではなく、戦闘の勝利後に経験値とは別に得られる「成長ポイント」を消費して、好みのものを覚えられる。
スキルは、ただ習得しただけでは役に立たない。「メインスキル」以外のスキルは「スキルセット」でセットして、はじめて効果が発揮される。スキルをセットできるスロットは、
- ほかのタイプで覚えたメインスキルをセットできる「サブスキル」
- 敵のアクションに対応して発動する「リアクションスキル」
- SPを少しずつ回復してくれたり、消費SPを半分にしたりと、戦闘中に補助や補佐をしてくれる「サポートスキル」
- ステータスUPなどが中心の「オートスキル」
の4種類が用意されている。「サブスキル」では、2倍の消費SPが必要。