「FileSum」を作ったのはWindows 3.1時代で、VBで開発しました。Windows 3.1の前の時代はMS-DOSで、ファイルやディレクトリ(現在のフォルダ)はすべて自分で管理していました。アプリケーションのインストールもたいていは自分でコピーしていました。ところがWindows 3.1ではセットアップが出現し、自分の知らないフォルダにどんどんファイルをコピーしていきます。しかも、とんでもなく深い階層構造のフォルダを作るのです。
当時のハードディスクは100MBだとかなり大きなものだったのですが、たくさんアプリケーションを入れると、圧迫されてきます。ところが階層構造が深いため、親フォルダが子や孫フォルダも含めて、どれだけ使っているかわからないのです。「困った! どれを消せばいいのかわからない!」と思ったときに、「こんなことこそコンピュータ自身に計算させればよい」と気づきました。これが「FileSum」を作るきっかけです。
Windows 3.1にはツリーコントロールがなかったので、自前でツリーを表示していました。
Windows 95になるとツリーコントロールが搭載されました。私はVC++を購入し、VBとはおさらばしました。なぜなら、私の好きなツール類の開発ではWindows APIを使いまくるので、VBではとても不便だったのです。
そして、C++で開発した32bitの「FileSum」を初めて実行させる瞬間がきました。ほとんど一瞬と感じられる時間で終わってしまい、正常に動作したとは信じられませんでした。ところが正常に動作していたのです。VBの「FileSum」とのあまりのスピードの差に私は心酔しました。これがC++の力なのかと。
「FileSum」は、OSがWindows 95/98/Me/NT4/2000/XP/Vista/7と変遷しても、そのために改造することはありませんでした。裏技のようなものを何も使わずに開発したためだと思います。これからも手軽なツールとして、多くの人に長く使ってもらうことを願っています。
(土屋 秀雄)