夏の雨天時によく見られる現象の、いわゆる「透けブラ」から発想されたソフト(なのだろう)。ネタソフトという言い方が相応しいかどうかわからないが、ネタ色が強いソフトではある。機能的にはシンプルで、Webブラウザとして最低限の機能を持っているだけという点も、ネタソフトという印象を強めているかもしれない。とはいえ、この「透けブラ」を「ネタ」のひと言で片付けてしまうべきではない気がする。個人的には、なかなか、いろいろと考えされられてしまうソフトなのだ。「これでもか」とばかりに便利な機能が詰め込まれた高機能・多機能Webブラウザに慣れてしまった身には、「透けブラ」のあまりのシンプルさが新鮮な驚きに感じられる。と同時に、「昔はこんなものだったし、本来こういうものかもしれないなあ」と思ってしまう。
もっとも「透けブラ」が実用的かどうか、普段使いのブラウザとして勧められるかということが、また別の問題であることも確か。「実用のため」というのであれば、何も透ける必要はないはずだ(もしかしたら必要があるのかもしれないが、筆者には透ける必要がある場面が思い浮かばない)。
ただ、実用的なだけがよいソフトの条件ではないし、単純にネタとしてもなかなかおもしろい。気分に余裕のあるとき、「透けブラ」を使ってのんびりと、なぜか半透明の“ネットサーフィン”と洒落こむのも、乙なものかもしれない。
(土屋 佳彦)