仮想ドライブの作成と暗号化の機能が融合し、一度ボリュームをマウントしてしまえば、あとはもう普通にファイルを利用するだけ。暗号化や復号化をまったく意識しなくても使えるところが大きな魅力だ。復号化されたファイルを残さず、メモリ上ですべて処理されるため、「暗号化されているファイルを開く」という意識すら必要なく、ごく自然に操作できる。一方、シャットダウンや再起動時には自動的にマウント解除してくれるし、さらにはスクリーンセーバの起動や省電力モードへの移行などでも解除することが可能で、安心だ。
そのほかにもさまざまな機能を備えるが、ひとつ特筆しておかなければならない点がある。実は「TypeCrypt」は本来英語版で、日本語で利用するには言語パック(Language Pack)をユーザがダウンロードして組み込む必要がある。組み込み作業自体は簡単で、ダウンロードしたパックを解凍(展開)し、ファイルを「TypeCrypt」のフォルダにコピーするだけ。これで、起動時に自動的に日本語表記に切り替わる。さらにすばらしいことに、メニューやダイアログの表記だけでなく、PDF形式のユーザーズマニュアル(「ヘルプ」メニューから呼び出せる)まで、きちんと翻訳されたものが含まれているのだ。
高度な機能に加えて、細かなオプションも多く、とても助かる。国産ソフトとなんら変わらない感覚で使うことができるので、日ごろ海外製ソフトを敬遠している方も、ぜひトライしてほしい。
(福住 護)