ソフトを開発しようと思った動機・背景
私は、趣味で水彩画のグループに入会し、会の人たちと一緒に、よく水彩画を描いています。できあがった水彩画を額縁に入れると、一段と見栄えがよくなり、何だか上手になったような気がしてきます。しかし絵によく合う額縁を選ぶのは、なかなか大変です。額縁屋さんが近くにあれば絵を持っていって、お店の人と相談して選ぶことができますが、最近は時代の流れで、お店がどんどん減少してきています。そのため、私はインターネットの画材店や額縁屋さんから購入することが多くなりました。
しかし、どちらの場合でも思うように気に入ったものを選ぶのは容易ではありません。そこで「自分のパソコンで、デジカメで撮った絵を額縁にあてがってみることはできないかな」と思いました。これが、ソフトを開発しようと思った動機でした。
開発に苦労した点
自分の描いた絵を額縁に当てはめるといっても、どうすればよいのか、これが問題でした。田中千尋先生の「四季水彩」のWebページで、先生がお描きになった“はがき大”の水彩画を購入することができます。以前ここに、額縁をドラッグすると、先生の絵を額に入れた様子がわかるようになっているページがありました。ここでできることは「先生の絵を決まった額に入れる」ことだけでしたが、そのようなことを「自分の描いた絵」と「気に入った額縁」でできないかと考えました。
そこで最初に開発したのが、Microsoft Officeの「Visio」という、フローチャートの作画に秀でた描画ソフトを使ったソフトです。できあがったソフトは、デジカメで撮った絵をソフトの額縁の絵の上にドラッグし、そのあとで額縁の枠、マットの寸法、色を変えて見るというものになりました。このソフトを動かすには、あらかじめパソコンに「Visio」がインストールされていることが必要でした。
このソフトを、水彩画のグループの人たちに紹介したり、地元のマイコンクラブの人たちに紹介したりしました。そこで、いろいろな意見がありましたが、一番多かったのは「なぜ、Visioがなければいけないのか」ということでした。「Visio」はよいソフトですが、水彩画を描く人たちで「Visio」を知っている人はいませんでした。単独で動くソフトがほしいということでした。そこで、新たに作ったのが「Visio」の不要な独立バージョンです。
ユーザにお勧めする使い方
このソフトを使いますと、自分で描いた絵だけでなく、写真でも、デジカメで撮って額縁に当てはめることで、どんな額縁が一番いいか検討することができます。また、額縁の購入前の検討だけでなく、自分の絵や写真をこのソフトで額縁に入れて、趣味を同じくする友人にメールで送るのもよいでしょう。また、絵が増えたらWebページなどで「インターネット個展」を開くこともできます。
私は、このようにして作った自分の絵のページを作りました。また、水彩画のグループの作品展の絵をデジカメで撮って、このソフトの額に入れてネットで見られるようにして、喜ばれました。
最新版では、木目調や金色など、立体的で材質感のある額にすることができますので、ぜひお験しください。
「水彩額シミュレーター」のWebページでは、ビデオでも詳しく説明していますので、マニュアルを読むことが苦手な方でもお使いいただけると思います。
今後のバージョンアップ予定
水彩画の額縁は、油絵の額縁とは違ってかなりシンプルです。「水彩額シミュレーター」では、油絵の額縁のように凝った飾りのあるものは作れません。また、水彩画の額縁でも、このソフトではできないような形のものがあります。知人の中には「そういう複雑な額縁にも対応できるようにしたらどうか」という人もいます。これからは、そういった声にできるだけ応えられるようにしようと思っています。
その中でも現在考えていることは「マットの質感」です。現在は単純に色を調整できるだけですが、これに紙質や布質、あるいはまったく違う材料の質感をつけられないかと思っております。どうすればできるか勉強しなければなりませんが、考えてみようと思っております。
(yoda)