あるとき認定証の印刷を依頼されて、そのアプリケーションを完成させました。さて運用時、認定者の姓名を印刷してみると、「漢字が違う」と認定者からクレームが入りました。その辻さんは「辻」ではなく、しんにょうが一点の「つじ」さんでした。当時認識不足でしたので、当然、その字が出ているものと思っていたのですが、実際はしんにょうが二点の「辻」でした。
調べてみると、そのような字はたくさんあり、結果、パソコンの漢字コードがJIS90からJIS2004に変更されてから、168文字の文字が変更されていることがわかりました。その中には例えば「榊」「鯖」「飴」など、よく使われる漢字も含まれていました。
それらの字は姓名でよく使われるので大変に困りましたし、そのうち「高橋」「渡辺」「濱埼」なども字が足りないことがわかりました。それらの不足文字をカバーするフォントが「IPAmj明朝」にあることがわかり、5万字近い漢字をサポートしていることがわかりましたが、ソフトウェアがなく、読みを探してUnicodeを直打ちしなければならない状態でした。
「それでは作りましょう」ということで開発がはじまりました。
最初は辞書を作ることで解決を図りましたが、辞書が膨大になって使い物になりません。それからアプリケーションの開発をはじめました。フォント情報の登録ですが、5万字あまりある漢字の部首・画数・読みを整備するには、予想以上に時間がかかりました。
このソフトは出発が人名漢字なので、実務上でいままでなかった漢字を検索し、「Word」や「Excel」に貼り付けるには最適なアプリケーションです。きっと「なかったから」と諦めていた漢字、専門的な使い方で引っ張り出していた漢字を「読み」一発で表示させることができ、ご満足いただけると思います。
また、読みで検索すると、フォントごとに文字の多さが違ったり、部首や画数、Unicodeが表示されたりするので、「あぁ、こんな字があるのか」「部首はこれか」「コードはこれか」など、違った角度から漢字に触れることができ、漢字に親しめるという副次効果を発見しました。
漢和辞典のようにお使いになることもお勧めいたします。
無償バージョンでも、個人でお使いになるには十分な機能を備えています。有償登録していただくと、外字登録機能をお使いになることができ、MS明朝などにでも「外字」として表示できたり、また外字のインポート/エキスポート機能もありますので、登録したフォントを共有したりすることもできます。
今後はデータベースを強化して、フィードバック機能を付加していこうと思います。
((株)アットマルシェ)