同じアプリケーションをベースに開発されただけあり、外見上は「Chrome」そのもので、すぐに見分けがつく人はほとんどいないのではないか。実際の使用場面における違いも、Webページのアドレス入力時に候補となるURLやサイト名が出ないといった程度。予測ができないとはいえ、過去に入力したアドレスの履歴は表示されるので、実用上はこれで十分と感じる人も多いだろう。
「Chrome」から省略された機能の一覧を見ると、「サーバとの間で通信を必要となる機能を使わないようにする」という方針が窺われるが、ブラウザのアップデート機能まで省略する徹底ぶりだ(設定がOFFになっているのではなく、アップデート機能そのものが実装されていない)。
逆にいうと「Iron」自体に何か問題が見つかった場合も更新は行われないので、バージョンアップには常に注意を払っておく必要がある。起動ページとして初期設定されているIron-Start.comでは「UPDATES?」タブ画面に切り替えると、最新バージョンの情報が表示されるので、チェックを怠らないようにしたい。
公式サイトは独・英・仏など5ヵ国語での表記で、日本語のページはないが、アプリケーション自体は日本語化されており、設定画面もほぼ「Chrome」そのものなので、通常の使用には問題ない。
一部の機能制限はあるが、セキュリティ向上のためのトレードオフと割り切って安全性を最重視する方にお勧めしたい。
(福住 護)