「自分の死因や現世に対する未練の内容などを思い出せない死者たちが、互いに協力し合って記憶を取り戻し、それぞれの目的を果たしてゆく」という物語がおもしろい、現代を舞台にした異色のRPG。序盤、戦闘によって減少したHPを回復する手段が非常に限られており、少しずつHP(猶予)が減るのがとてもおもしろく感じた。このまま最後までこの演出を貫いてほしかったところだが、中盤以降はHPの回復が可能になる(筆者としては残念)。
グラフィック、BGM、シナリオもよくできている。家族や生前の友人の会話を聞いたり、同じ境界人と会話したりして、物語を進めてゆくのだが、どのキャラクタにも味があり、作品世界にグイグイ引き込まれていった。ただひたすらシリアスなわけではなく、ギャグやコミカルなシーンも適度に散りばめられ、気軽にプレイできた点もよかった。
若干、説明不足に感じられる部分もあるが、全体に非常に雰囲気がよく、プレイしていて続きが気になって、最後まで一気にプレイしてしまうタイプの良作だ。ぜひ、みなさんにもプレイをお勧めしたい。
(秋山 俊)