「コレクト・チャート」は、インターネットで調べたデータを効率的に活用するための“ネット資料収集管理ソフト”。WebページそのものをPDFやイメージ（画像）として取り込んだり、ページで表示されている部分だけを保存したりしておくことができる。保存した情報は「ノード」としてチャート上に配置され、自由にレイアウトすることが可能。ノード同士を線（「アーク」と呼ばれる）で結ぶことで、ノード間の関係性も表現できる。ノードは、保存した情報を呼び出すためのブックマーク的な役割を持ち、クリックすることにより、保存したPDFやイメージ、ソースとなったページを呼び出せる仕組み。チャートはデータベースファイルとして保存され、複数のものを切り替えて使うことができる。

メイン（操作）画面は「HTMLエリア」「テキストエリア」「チャートエリア」の各エリア（いわゆるペインと同様）で構成される。（1）HTMLエリアで閲覧したWebページを取り込み、（2）チャートエリアにノードとして配置するというのが操作の基本。HTMLエリアはInternet Explorerとほぼ同等の機能を持つ（タブ機能はない）Webブラウザで、HTMLエリアに表示されたWebページを保存するには、チャートエリアを右クリックして「ここに新しいノードを追加」を実行すればよい。作成方法は、

1. Webページ全体を保存するか、表示された部分を保存するか
2. PDFとして保存するか、イメージとして保存するか

テキストエリアには、表示中のWebページからタグなどを省いたテキストが表示される。通常は操作する必要はないが、「付箋」機能を使う場合には、テキストエリアで選択した文字列をコピー＆ペーストで利用することが可能。「付箋」は、チャート上に貼り付けるラベルのこと。ノードの説明などに使用する。付箋の作成は、まず空の付箋を貼り付けてからテキストを入力する方法と、クリップボード内のテキストを直接ペーストする方法とがあり、テキストエリア内で選択した文字列を使って付箋を作れるようになっている。

チャートに配置したノードや付箋は、ドラッグで自由に位置を移動したり、サイズを変更したりできるほか、ノードを整列したり、サイズを揃えたりすることも可能。ノードを他のノードに重ねるようにドラッグ＆ドロップすると、ノード同士が「アーク」で結ばれる（ノードの位置は移動せず、アークだけが引かれる）。アークは、重ねられた方（ドロップ先）のノードからドロップした方へ向かう矢印付きの線で、ノード間の関係を表すのに利用できる。

ノードが増えてチャートに収まらなくなってきた場合は、チャート自体のサイズを広げたり、ページを追加したりして整理できる。ページはタブ切り替え式で、サイズや背景色はページごとに指定できるようになっている。アークを持つノードを他のページへ移動させると、ページ間をリンクする「ワープポイント」が作成され、クリックでリンク先のページを呼び出すことができる。

同様のソフトは昔からあった。時は20世紀末、まだブロードバンドどころか常時接続環境すら整っていなかったころには、電話料金の安い時間帯にWebを自動巡回して、保存したページをオフラインで閲覧するためのソフトが数多くリリースされていた。「ローカルマシンに情報を保存する」という点では「コレクト・チャート」も類似しているが、大きく異なるのは「保存した情報の管理に『表現』をプラスした」ことではないかと思う。

かつての自動巡回ソフトは、サイトやページをツリー構造で管理する形が主だったが、「コレクト・チャート」ではページのリンクやサイト構成の保存は重視されていない。代わって登場したのが、保存した情報同士の関係を図式化する機能で、これにより情報を保存している状態──すなわちチャートのレイアウト自体──も一種の情報となり得る。

ハードディスクの大容量化が進み、ローカルに保存できる情報量が飛躍的に増えた現在の方が、ある意味でこうしたソフトの本領を発揮しやすくなったといえるかもしれない。日ごろからインターネットで情報収集している人には、ぜひ注目していただきたいソフトだ。

開発中に苦労した点
「コレクト・チャート」の開発にあたって、HTMLやPDFからのテキスト取得が必要で、当初、内部から取得しようと苦労しました。海外のフォントなど、さまざまなケースに対応しきれず、今後のバージョンアップによる仕様の追加や変更を考えると、ある程度の線を引かないと無理ではないかと思いました。そんなとき、コペルニクス的発想の転換で、「中から無理なら外から」ということで完成したのが「コレクト・チャート」です。

お勧めする使い方
「コレクト・チャート」は、ブックマークのようなツリー形式によるグループ分けでの管理ではなく、ページ形式で管理し、資料間の関係をチャートで表現します。したがって、資料に目を通して、さらにそこから新しい検索語句で、究極の資料にたどり着いたときなど、その過程も明確にすることができます。インターネットで資料探しを頻繁に行う学術研究機関関係者をはじめ、趣味でネットをフル活用している方に特にお勧めします。