コンシューマ向けとして世界で初めて64bit Windowsへの完全対応を果たした“HDビデオ編集ソフト”。「PowerDirector 9 Ultra64」は、簡単な操作と高いカスタマイズ性で定評のある動画編集ソフト「PowerDirector」シリーズの新バージョン。64bit Windowsにネイティブ対応し、大容量メモリを利用できるようになった(TrueVelocity 64)ほか、CPU使用率の最適化を行ったり(TrueVelocity Parallel)、GPGPUへの対応を図ったりした(TrueVelocity Accelerator/TrueVelocity Rapid Effect)ことで、処理の高速化を実現。動画編集機能も強化され、タイムライン上で使用できるトラック数が大幅に増えた。VSTプラグインに対応した波形編集ソフト「WaveEditor」が同梱され、多重サウンドの編集も可能。コミュニティサイト「DirectorZone」からエフェクトやテンプレートをダウンロードして利用することもできる。
新バージョン「9 Ultra64」の最大の注目点は、64bit Windowsにネイティブ対応したこと。新たに搭載した「TrueVelocity 64」エンジンにより、64bit版Windows 7/Vista/XP上では、4GBを超える物理メモリや64bit APIを利用できるようになった。これにより、複数のHD動画を同時に扱う場合など、メモリを大量に利用する操作を行っても、アプリケーションの動作速度が低下しづらい(「PowerDirector 9 Ultra」自体は、32bit版Windowsでも動作する。32bit版Windowsでは、「TrueVelocity 64」による高速化の恩恵は受けられないが、他の高速化機能は(ハードウェアが対応していれば)利用できる)。
マルチスレッドによる並列処理を実現するのが「TrueVelocity Parallel」だ。画面エフェクトやPinP(Picture in Picture)、オーディオエフェクトなどを複数スレッドで並列処理することで、編集/エンコード作業を高速化する。
「TrueVelocity Accelerator」「TrueVelocity Rapid Effect」は、NVIDIA CUDAやATI StreamといったGPUによる演算機能(GPGPU)を利用した動画エンコード/デコード、エフェクトの高速化機能。CPUだけでは時間がかかる処理をGPUに肩代わりさせることで、高速化を図る。
そのほか、HDサイズのMPEG-2/H.264プレビュー時のシーク動作を高速化する「TrueVelocity Ultra Seek」や、同じくMPEG-2/H.264の編集部分のみを確実に認識してレンダリング時間を短縮する「TrueVelocity Fast Renderer」などの高速化機能を搭載し、編集の快適性を向上させている。
編集機能も強化された。タイムライン上に配置できるトラックは、従来の最大16本から最大100本へと大幅に拡張された。しかも、これまでの「メイントラック」+「エフェクトトラック」といった目的別のトラックから、どのトラックにも動画や音声、エフェクトなどのオブジェクトを自由に配置できる汎用トラックとなり、自由度の高い編集が可能になった。プレビューも、従来は行えなかったフルHD解像度でのプレビューに対応した。
エフェクトでは、従来から好評だった自動エフェクト機能「マジックツール」に、立体的な効果を加える「3Dマジックスタイル」や、画面内に光の玉や花びらなどのパーツを配置できる「パーティクルエフェクト」が新たに追加された。さらに「PowerDVD」でも採用されている高画質化機能「TrueTheater Technology」を活用することで、さまざまなエフェクトが高画質化・高機能化された。
SD解像度の動画ソースをHDサイズにアップコンバートする際に、シャープネスの向上やブロックノイズの低減を図る「TrueTheather HD」、動画中の手ぶれを補正する「TrueTheather Stabilizer」、彩度や輝度を補正する「TrueTheather Lighting corrects backlighting」、高感度撮影時のノイズなどを自動的に除去する「TrueTheather Noise Reduction」など、ホームビデオやデジタルカメラで撮影された動画を効果的に補正できる機能も多数、搭載する。
最終出力では、大容量化したBlu-rayメディア規格「BDXL」にいち早く対応。BDMV形式による出力で、最大128GBにもなる容量をフルに活用できる。そのほか、AVCHD形式での書き出しや、ポータブル機器向けの書き出し、Facebook/YouTubeへのアップロードなど、編集した動画を楽しむ機能も充実している。