聡明な黒猫「ドン吉」の視点で物語が展開するハートフルアドベンチャー。エンディングは3種類。不思議な能力を持つ黒猫と飼い主の少女――一人と一匹のある夏の物語
「私の黒猫」は、マルチエンディングの短編アドベンチャーゲーム。物語は、寒い冬の日、空腹でいまにも倒れそうな黒猫と、16歳の少女「藤田亜希」とが出会うところからはじまる。黒猫は、なぜか人の言葉を理解し、話すことができた。自分がどこから来たのか、なぜしゃべることができるのかはまったくわからなかったが、お腹が空いて疲労困憊だった黒猫は、亜希に「何か食べ物をいただけませんか?」と助けを求める。そんな黒猫を、亜希は怖がることなく家へと連れて帰り、「うちの子にならない?」と申し出る。こうして黒猫は、飼い猫としての生活をスタートさせた。
それから4ヵ月。飼い主となった亜希から「ドン吉」という名前を授けられた黒猫は、亜希とともにつつましくも楽しい生活を送っていた。しかし、ドン吉にはひとつ気になることがあった。それは「星野くん」の存在。星野の名前を聞くと、亜希は決まって沈んだ顔をした。黒猫と亜希がはじめて出会ったその日、亜希は「ごめんね。星野くん……」という言葉を口にしていたのだ。亜希は星野のことで、誰にも言えない悩みを抱えていた。
ゲームは、進行中に登場する選択肢でエンディングが分岐する、ノベルタイプのアドベンチャー。不思議な力を持つ黒猫と、その飼い主の女子高生との、温かくて切ないストーリーが綴られる。物語は、基本的にドン吉の視点で展開される。登場人物は、ドン吉と亜希を含めて5名。エンディングは3種類が用意され、シナリオの分岐は終盤からとなっている。プレイ時間は1エピソードにつき、だいたい40分から1時間程度と軽めだ。
システムには「吉里吉里」が使われ、セーブはどの場面でも行える。設定次第ではテキストの高速スキップやフォントの変更も可能で、ストレスなく快適にプレイできる。
すべてのエンディングを見終わったら、メニュー画面にエピローグが追加される。このシナリオでは、あるエンディングから1年後のエピソードを楽しむことができる。