「与えられたキャラクタと背景のイラスト、BGMといった素材だけを使用する」という制約の中で作られたデジタルノベル。男女三人の高校生が織り成す卒業のドラマが描かれる。「Graduaters! 〜グラディエイターズ!〜」は、夜の学校で三人の少年少女によって繰り広げられる、卒業のドラマを描いたデジタルノベル。主人公の少年が語る過去の回想と現在進行中の物語とが、映画のフラッシュバックと同じ手法で交互に切り替えられ、テンポのよいドラマが展開される。時折挿入される、謎のDJによるハイテンションなラジオ番組も楽しい。
ゲームの主人公兼語り部となるのは、寮生活をする高三の男子「常磐健二」。健二には、人に言えない秘密が三つあった。ひとつは、寮の自室の本棚、辞書ケースの中にあるDVD。二つめは、実はカナヅチで泳げないこと。そして三つめは、割としょっちゅう学生寮を抜け出しては、夜の学校に忍び込んでいること。オバケが怖く、ギャグも寒い、ちょっと情けないタイプだが、なぜかモテる。
「御堂明日香」は、健二の幼なじみで、悩みのタネのひとつでもあるトラブルメーカー。美少女だが、気まぐれな性格とバイタリティ溢れる行動力に、健二はいつも振り回されているが、逆らうことはできない。怖がりな健二が夜の学校に忍び込むようになったのも、明日香の発案によるものだ。
「三笠優希」は、健二と明日香がはじめて校舎に忍び込んだときに屋上で出会った少女。二人と同じく寮生。天体観測が趣味で、二人以上に夜の学校──特に屋上──に入り浸っている。一見穏やかそうに見えるが、やるときは結構やるタイプ。三つ年上の兄がおり、その影響で星を眺めるのが好きになった。
この三人の現在と過去の物語が、人気のない夜の校舎を舞台に、少しずつ語られてゆく。物語の発端は、卒業式を終えた夜、健二のもとに届いた幼なじみからの一通のメール。そこには「今晩、学校に忍び込むから、健二も来るよーに」とあった。無視したり、遅れたりしようものなら、とんでもない注文をつけられることは間違いない。健二は仕方なく重い腰を上げ、久しぶりに夜の学校に忍び込むことにした……。